書評

たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング

1.今日の一言と本のサマリー

1000人より1人の顧客をすればいい。

マーケティングというと難しいイメージがありますが、広く分析をすることにこだわるよりも、たった1人をしっかりと分析した方がマーケティングがうまくいく!

P&G、ロート製薬、ロクシタンを経て、スマートニュースをアプリランキング100位圏外からナンバーワンに伸ばした著者。1人の顧客を徹底した理解から導き出したアイデアを展開し、各顧客セグメントのニーズや構成比が動いたかを可視化、定量化して検証する。これが顧客起点マーケティング。ご紹介していきましょう。

2.岡崎の考察

顧客起点マーケティングという発想。お客様が大事であり、お客様から物事を考えるというのは当たり前のようで難しいもの。この書籍は顧客視点に立ってマーケティングをしていくことのヒントが得られる一冊でした。それでは書評していきましょう。

①顧客から考えるとは?
顧客起点マーケティングは、1人の顧客を起点に商品やサービスの新たな可能性を見つける概念です。ではここで言う1人の顧客とは誰のことでしょうか?
平均的な顧客や、想定される誰かという事でもなく、無作為に選んだ誰か1人の話を聞けばいいという事でもありません。
顧客ピラミッドを利用します。

顧客ピラミッドとは、
・ロイヤル顧客
・一般顧客
・離反顧客
・認知、未加入顧客
・未認知顧客
の5段階に分け、それぞれの購買層において、特定の顧客を1人つかみ、その顧客の言語化されていない深層心理のニーズをつかんでアイデアを開発していきます。売り込んでいきたいターゲットを明確にして、分析はその顧客1人に絞っていきましょう。

②肌ラボで分かったアイデア創出の方法
肌ラボを大ヒットさせた。その背景には次のようなストーリーがあったそうです。肌が求めるクオリティな化粧水を作るために作った肌ラボ。しかし、肌への浸透感が高くなく、ベタつきを感じさせる結果に。そのベタつきや顧客の満足度を下げさせる結果になっていました。そこで次のように広告を打ちます。

手に頬がくっついて離れなくなるほど、モチモチ肌になる化粧水

すばらしいプロダクトの特性を生かすために、顧客の意見を採用し、強みに変えた素晴らしいストーリーだと思います。

③プロダクトアイデアにこだわる
アイデアを創出する上で2つの観点を持つ必要があります。
・それは独自性があるか?
・便益があるか?
この2つがある状態をアイデアと呼びます。逆にもしも2つともないのだとしたら資源破壊です。そして理想的には生み出した独自性が=免疫という状態を作り出すことが理想的です。具体的にはiPhoneなどが挙げられるでしょう。IPodの独自性と、携帯電話の便益が相まって作られたiPhone。新しいビジネスアイデアを創出するときに、この2つの観点を持つことが重要でしょう。

④コミュニケーションアイデアを工夫する
プロダクトアイデアを対象顧客に耐え、購買行動を起こしてもらうためのコミニケーション自体のアイデアを意味します。コミニケーションも、独自性と便益との組み合わせで成り立ちます。コミュニケーションの独自性とは、広告やリアルイベント、キャンペーンの仕組み等におけるクリエイティブの独自性を指します。
そして便益とは、広告に接すること自体が楽しい、面白い、心地よいといったプラスの要素をもたらすかを指します。ただしプロダクトアイディアもコミニケーションアイディアも両方大事ですが、必ずプロダクトアイディアありきであるというところからずれないようにしましょう。

⑤たった1人を喚起させるプレゼントを選ぶ
ではなぜたった1人に絞り込むのか。次の3つの例をイメージしてみてください。
1.自分の子供、奥さん、主人、恋人のいずれか1人
2.自分の同僚や同級生20人
3.大学を卒業し、現在東京都在住の、世帯収入800万以上で子供がいる専業主婦1000人
当然ですが1番が最も想定しやすいはずです。人数が増えれば増えるほど思考が浅くなってしまうのです。具体的な提案を行おうと思うなら、1人に絞込む必要があるんです。そして1人を分析することで購買行動を左右している根本的な理由を探っていきましょう。

3.気になるワード

なぜ顧客が動いたのか?その行動変化の理由である心に変化に触れないままでは、大規模なマーケティング投資でスケールさせることができません。
購入を左右する理由は、この例のように、単純な快体験に紐付くことが多い
重要なのは、セグメント定義に合う方を探すことです
割引があるからとはじめての飲食店に訪れても、美味しくなければ次回来店がない

5.商品の紹介