書評

ひつまぶしとスマホは、同じ原理でできている

1.今日の一言と本のサマリー

物と情報が溢れかえっている現代。商品やサービスについての情報が大量に流通しているので、全く目や耳にしたことがない商品やサービスなどには、そうそう出会うことがありません。こうした状況で、顧客に、これ面白そう!という驚きや感動を与えられなければ、勝ち残る事は難しいでしょう。では画期的なアイディアはどのようにして生まれるのか?

発明という観点で機能と機器の関係を考えてみると、1つの機能を果たすために1つの機器が作られることが多かったわけですが、現在はむしろ組み合わせによって、発明されているケースの方が多いでしょう。

つまり、画期的なアイディアは0からは生まれていないということです。

ユニークな発想はどうやって生まれてくるのか?またどうすればユニークな発想ができるようになるのか?プロマーケター、理央周先生の、『ひつまぶしとスマホは、同じ原理でできている』ご紹介していきましょう。

2.岡崎の考察

新しいアイディアの創出方法を「ひつまぶし」、もっと言えば名古屋飯と比較するところから紹介している本書。切り口がとても面白いです。そこでまずは、「ひつまぶし」と「スマホ」の共通点をご紹介するところから書評していきましょう。

①ひつまぶしは名古屋飯の王様
そもそもひつまぶしとは、最初は鰻丼として出てきますが、2杯目から浅葱、わさびなどの薬味をのせて食べ、3杯目には薬味をのせ、だしをかけてお茶漬けのようにして食べる食べ物です。

一食で3通りの楽しみ方ができるお値打ち感が人気を博しています。

1回の食事で3種類の味わい方があり、何やら楽しいという胸躍る感覚すら得ることができる、そんな食べ物。名古屋でよく使われる、お値打ちという言葉は、単に安いとか値引きしてあるという意味だけではなく、値段の割にはお得感がある、つまり費用対効果が高いという意味を組まれて使われることが多いです。

まさに「ひつまぶし」はその代表格。

そう考えると、スマホと全く一緒ですね。電話だけではなく音楽も聴け、アプリケーションも使える。スマホ1台あればできないことがないと言えるくらいに幅広く使うことができます。こうした組み合わせにより広めているサービスが現代社会のメインとなるでしょう。

②名古屋の喫茶店が、長居してほしい理由
名古屋と言えば、モーニングが有名ですね。コーヒーとトースト、卵、サラダ、デザート…などなど様々なものがついて500円程度だったりします。なぜそんな安価にサービスを提供できるのでしょうか。

その理由は、儲けたいなら儲けを考えすぎないというところから来ています。回転率を重視すると、短期的に、客も多く入ります。結果的に売り上げも上がるように見えます。しかし、居心地が悪くなり、結果的にお客様が来なくなってしまいます。
コメダ珈琲などを代表に、行きたくなるカフェ店を作ることでリピーターが発生し、結果的にトータルで発生する利益が大きくなる仕組みになっています。短期的に儲けを考えすぎるとうまくいかなくなるものですね。

③ポジショニング戦略
コメダ珈琲はゆっくりしてもらうことを前提に、そして長く利益を発生するモデルとしてビジネスを展開しています。このように、ただのコーヒー店ではなく、サードプレイス的な、居心地の良さで攻めるというポジションをとっているわけです。
このように、同業他社と比べて、時差が優位に戦える場所を決めることを、位置を取るという意味で、ポジショニングといいます。

ビジネスを行っていく上でこのポジショニングをどこに置くのかはとても重要でしょう。競合他社が多いが顧客が多いところで攻めるのか、競合他社が少なく、これから開拓していく必要があるポジションを取るのか、分析をしていく必要があるでしょう。

名古屋飯、ひつまぶしとスマホの共通点というところから面白くマーケティングについて書かれている本書。マーケティング戦略の基本を勉強したい方にお勧めできる1冊です。

3.商品の紹介