書評

リーダー育成のプロが教える ビジネス能力の磨き方

1.今日の一言と紹介する本

最近新しいことにはまっております。

それは何かというと「人材アセスメント

ご存知ですか?ある大手銀行などはこの人材アセスメント研修によって適正が出ないと課長や部長になれないといった対応をしています。その人がその役職において活躍できるか、適性があるかを科学的に、そして客観性を持って評価するプログラムです。

僕も講師育成などしていますから、講師になる人の適性と、伸ばすべき点はどこなのかということを科学的に分析できることに非常に興味があります。

そこで今日は、人材アセスメントを扱う株式会社アルゴオ代表取締役神谷悟先生の1冊『リーダー育成のプロが教える ビジネス能力の磨き方』をご紹介していきます。

2.本のサマリー

著者、神谷先生は人事コンサルティングを通して、企業と働く人々の成長に実現するというミッションに基づき、1部上場企業から中堅企業に至るまで、幅広く人材アセスメント、スキルアップ研修、組織力開発研修を行っています。

もともとアセスメントというのは、歴史的に言えば、軍隊での将校の選抜や、スパイの選抜のための手法として開発されたもの。リーダーを抜擢する際に試しにやらせてみたでは、生死に関わってきます。

そこで、遂行したいミッションに適した人材かどうかを見極める手法として、アセスメントが開発されました。企業においても、そのポストに於いて能力を発揮させる人物かどうかを事前に判断できる事は非常に価値が高いといえます。また個人においても、自分が次のステージに進むために必要な能力開発が何かがわかるという事は価値が高いでしょう。

リーダー育成のプロが教える戦略的に自分を成長させる15のアプローチとは?

3.ポイント3点

自分を知らないことが、同じ失敗を繰り返す原因となる

どんなに高い能力があったとしても、使わなければ錆びてきますし、逆にそれほど高くない努力であっても、それを認識した上で、リカバリーするような努力を意識的にし続ければ、十分に弱点を克服することが可能です。

変えられるものに焦点を当てれば、あなた自身とあなたの将来は変わる

4.岡崎の考察

恥ずかしながら、この人材アセスメントというものを知ったのは神谷先生との出会いが初めて。

たとえばビジネスシーンで、あの人は魅力的だと言った時になぜその人は魅力的なのかということを説明する要素はなかなかわからないもの。

人材アセスメントを勉強すると、

①その人の魅力や強みは何か
②次のステージに進むために学ぶべき資質は何か

を明確にすることができます。

人材アセスメントとは『個人のビジネス能力を見極めること』です。

本書の中ではそのビジネス能力を15の項目に分けて紹介されています。一つ一つの資質を説明していくと、とてもではありませんが書評になりませんので、今日はなぜ個人のビジネス能力を見極めることが重要なのかという観点で書評をしていきましょう。

①同じ状況でありながら結果が違うという現実
例えば営業の仕事をしていても、同じ地域、同じ製品、同じ条件にもかかわらず営業成績に差がつくものです。外部要因が一緒であれば、その結果の違いは内部要因、つまりビジネス能力の違いあります。
自己のビジネス能力はどういったものなのかをまず把握する必要があるでしょう。

②自分を知らないことが、同じ失敗を繰り返す原因となっている。
多くの場合自分のことを意外と知りません。仕事上のつまずきが、大にして自分の能力の特性を把握していないことに起因しているといいます。自分自身が意識変革をしたり、能力開発をして変わっていかないと、いつまでも同じようにつまずいてしまいます。

③自分を知ることが、さらなる成長につながる
自分の能力特性を知ることで、成果に結びついた体験に再現性を持たせることができます。人材アセスメントで扱う能力とは普遍的な能力であり、どこに行っても必要とされる能力であるため、自分に欠けている点を知ることでさらなる成長を促すことができます。

人材育成や、人事的な適切な配置を勉強したいという方に役立つ一冊。興味ある方は是非一緒に勉強しましょう。

5.気になるワード

同じ会社の同じ営業職についていて、担当している顧客の数が同じ300人だったとしても、Aさん成果が出せて、Bさんは成果が出せない、ということが、往々にしてあるものです。
人材アセスメントというのは、簡単に言うと個人のビジネス能力を見極めること
企業においては、とりわけリーダーというポジションで業績向上に寄与し得る人材の見極めに躍起になっている
すべてのビジネスパーソン、とりわけリーダー的なポジションで部下や後輩を引っ張っていく立場にいるビジネスパーソンならば、自らの能力特性をできるだけ正確に把握して、長所となる能力を伸ばし、短所となりそうな努力はそれを補うような工夫をして、効率的に成果をあげられるように努めなければならない
自分の事は、意外とわかっていない。
自分のことは、自分が1番わかっていると言う人がいますが、果たして本当でしょうか。
私はいつでも、自分の内面と向き合っていると言う方がいらっしゃれば、それは素晴らしいことです。
自分を知らないことが、同じ失敗を繰り返す原因となる
自分の能力特性を正確に理解し、何が得意で、何が不得意なのかがわかれば、得意な能力を伸ばし、不得意は、補うような仕事のやり方に変えることができ、それによって失敗することができるようになります。
自分を知ることが、さらなる成長にもつながる
ビジネスにおいて、何らかの成果を上げた場合に、その成功要因をしっかりと理解し、同様の事案に関しては成果を出し続けることができるレベルで、自分の中にノウハウとして定着していることが重要だ
ウィルとスキルとポジションを明確にする。ウィルとは自分がどうなりたいか。スキルとはウィルを実現するために必要な、文字通りのビジネススキル。ポジションとは、今現在の自分がどういう状態にあるのか。
どこに行っても通用する能力、どんな業務についても成果を上げ得る能力こそが、真のビジネス能力であり、これからのビジネスパーソンは、その汎用性なる能力にフォーカスして、自分の能力を把握し、能力開発に努めなければならない
リーダーなど、ある組織を引っ張っていくべき立場にいる場合には、すべての能力をバランスよく身に付けていくことが求められる
対人力とはモチベーションを高いレベルで維持し続けるための能力
仕事に対するモチベーションは、環境からの刺激や時間の経過によって変化する
モチベーションは移ろいやすい
動因は本人の内面にあるもので、誘因は外側にあるものです。
動因と誘因は結びつくことで人間は行動を起こします。
期待理論のプロセスモデル
①努力すれば結果が出るという見込みがあり
②その結果が出れば報酬得られると確信できる
③その報酬が自分にとって満足できるものであると
④モチベーションが高まる
動機(やる気)の大きさ=魅力度×実現度
影響力とは目標達成に向かうよう、個人や集団に働きかける能力
説得力とは訴求を明確にして、自分の考えを感情込めて売り込んでいく能力
説明力とは自分の考えや伝えたい事柄をわかりやすく口頭、文書で示す能力
理解力とは錯綜する情報からその要点を素早く、正確、的確に理解する能力
受容力とは多様性の価値や、他者の見解、価値観を認め、受容する能力
すべてのリーダーの共通点は、自分が実現したいと考えているビジョン(未来像)に向けて、ひたむきにその時代を生き抜いている姿勢
ビジョンとは未来におけるありたい姿あるいはあるべき姿の事
このビジョンは、さらにその上位概念というべき、ミッションから導き出されるもの
ミッションとは顧客や社会に対して組織が果たすべき使命であり、存在目的である
与えられた目標に仕方なく取り組むという姿勢では、おそらく目標達成のために、自らの意思で、創意工夫をする、という事は望めないでしょう
言われたことだけを言われたとおりにやって、それで結果がついてこなければ、それは自分の責任ではない、という考え方では、おそらく目標達成すらおぼつかないのではないでしょうか
成果を上げ続けられるビジネスパーソンは、自分なりの考えやスタンスを持って、成果を上げようと努力します。これは自律性という行動特徴です。
変革指向性は、言われたことだけを言われた通りにやるのではなく、創造的、挑戦的に業務に向かう行動特徴のこと
達成指向性、自律性、変革指向性の高いリーダーは、共通の特徴として、明確な目的意識を持っている
事務的に仕事をこなすだけでは成果は上がらない
ありたい姿を明確にすることで、仕事の成果が上がる。
やりがいを感じられる仕事でこそ、高い成果が挙げられる。
どんなに高い能力があったとしても、使わなければ錆びてきますし、逆にそれほど高くない努力であっても、それを認識した上で、リカバリーするような努力を意識的にし続ければ、十分に弱点を克服することが可能です。
思考力全体のレベルのアップのためにまず重要なのは、問題意識を持つことです。
問題解決をするためには、まず、なぜその問題が起きたのかという原因をはっきりさせる必要がある
問題分析を効果的、効率的に行うためには、分析の前段階として、必要な情報を集めることがスタート
普段から問題の背景や原因を考える癖をつける
新聞やテレビのニュースなどで話題になっている問題や、自分の身近にある不便なことなどについて、その背景や原因を考察してみる
最初のうちは、頭の中だけで考えるのではなく、書くこと
合理的な意思決定を阻害する要因
①現実を直視することを避けてしまう
②うまくいったパターンに過度に依存してしまう
③時間的なプレッシャーを過剰に意識してしまった
④前例を尊重したり踏襲したりする組織文化
⑤対人関係を重視しすぎる組織文化
⑥外部情報入手手段の貧困さ
このような用意を回避する手立てとしては、それまで考えていた条件を取り払った、考える枠組み自体を変えたり、新しい視点で考えることが望まれます。具体的にはゼロベース思考と仮説思考です。
ゼロベース思考…現在足かせになっているしがらみを取り除いて、ゼロベース、白紙の状態から考えてみること。
仮説思考…現在ある情報の中で仮の結論を導き出す思考。
良い計画とは、起こるであろう障害を踏まえて、練り上げられた現実的なもの
計画立案にあたっては、最善、最悪、そしてその中間の3つの計画案を作成する習慣を身に付けること
組織化の目的は第一義的には、目標の達成ですが、同時に部下の不足している能力を育成するという側面がある
組織化にあたっては、自由度と支援体制を意図した行動を心がけてください
言うまでもなく、仕事に対してやらされてる感を持った部下は十分に成果を上げることができません。
思考力のレベルアップは、対人力のレベルアップよりも、かなり時間がかかると言われている
組織を動かそうとするとき、まずリーダーが行うべき事は、組織目標に加えて、目指すべき状態(ありたい姿)や、そこにたどり着くために克服しなければならない課題について、組織のメンバーと認識を共有すること
リーダーが、組織のビジョンと、ビジョンに対する自分のコミットメントをメンバーに伝える際のポイントは、
①メンバーにわかりやすく伝えること
②頑張れば手が届くビジョンであり達成目標であること
③リーダー自身の言葉で語ること
④リーダーの思いが込められている事
の4つです。
説得力をレベルアップして能力の発揮度を高めるためのポイント
①相手のことを理解しているか
②相手に適した訴求を明らかにしているか
③誠実さ、真摯さが伝わっているか
説明力の能力発揮を高めるためのポイント
①伝える内容、要点が明確になっているか
②要点を具体的に説明する材料が整理されているか
③話す順序が決まっているか
理解はできるが納得ができないというケースはあっても、その逆はあり得ません。相手の納得を得るためには、まずは理解してもらう必要があります
説明力が弱い人にありがちなのは、話が長くて冗長で、話の内容があちこちに飛び支離滅裂になってしまうケースです。
こうした話し方になってしまうのは、そもそも自分の考えが整理されていない、つまり準備不足に起因している
理解力のレベルアップを図る現実な方法としては、正確さをどう高めるかに注力した方が効果が出やすい
コミニュケーションが上手な人でも伝えたいことの9割程度しか言葉にできず、聞き手は相手の話したことの8割程度しか理解できない
つまり、コミニケーションにたけた人同士でも、スタートラインで3割ものロスがある
受容力をレベルアップする3つのポイント
①多様性に価値を置いてメンバーと向き合っているか
②メンバーの気持ちを察することができているか
③そもそもメンバーの話を聞いているか
人間は感情の動物であり、あなたの気持ちを、私は理解していますということを相手に伝えるだけで、相手の不安や苦痛を和らげることができることもあります
そもそも人は、自分の行動については自分が決めたいと思い、自分が決めたと感じる度合いが高いと、決めた行動に対するモチベーションがアップする
コーチングのスキル
①傾聴するスキル
しっかりと聞いていることがメンバーに伝わる態度、反応、言動を示す
じっくり最後まで聞く
自分の思考を排していくことに集中する
②質問するスキル
限定質問と拡大質問を使い分ける
視野や発想を広げる
塊をほぐす質問を活用する
未来、肯定形の質問を活用する
③提案するスキル
④承認するスキル
資質のレベルアップには、ミッション、ビジョンの明確化が欠かせない
達成指向性をレベルアップするための3つのこと
①この成果は自分のミッション、ビジョンと整合しているか
②この成果をさらにストレッチさせるためにはどうすれば良いか
③この成果は自分(チーム)の力を100%発揮したものか
優位性をレベルアップする3つの視点
①この決定は自分のミッションと整合しているか
②この決定は上司や他部門、その他関係者の納得を得られるか
③この決定は1年後の自分が後悔する事はないか
変革指向性をレベルアップするためには、主観を絶対見せず、可能な限り客観的に現実を把握するように訓練していくこと
業界の常識や社会の常識は、一度疑ってみるべき
ストレス耐性をレベルアップする際には、まずストレスについての考え方を改めることが重要です。多くの人がストレスは無い方が良いと考えがちですが、ストレスは必ずしも悪いことではなく、業績を上げていくためにはむしろ適度にストレスが必要なのだと考えることです。
変えられるものに焦点を当てれば、あなた自身とあなたの将来は変わる

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