1.今日の一言と紹介する本
書評では比較的新しい書籍を紹介することが多いですが、長く読み続けられている書籍にはそれだけの理由があり、一過的ではなくこれからも継続的に使うことのできる知識が得られることが多いです。
そこで本日ご紹介するのは『思考の整理学』です。
皆さんはこの本をご存知ですか?
発売されたのは1986年。そこからなんと120回も重版されています!
そして、ある日本を代表する人たちがこの書籍を1番読んでいるそうです。
誰だかわかりますか?
そのある日本を代表する人たちとは、東大生、京大生です。
日本のトップの大学生が最も愛する書籍。
なぜこれだけロングセラーで読み続けられるのでしょうか。
その魅力をご紹介していきます。
2.本のサマリー
グライダー兼飛行機のような人間となるには、どういうことを心がければ良いか?
本書におけるメインテーマは、グライダー人間と言われる、言われた事は真面目にちゃんとやるが自分で考えることができない人間が、飛行機のように自立して自分で舞い上がっていくことができる人間になるにはどうしたら良いか。
著者の外山さんは東大文理科大学を卒業。
英文学を専攻し、レトリック、思考法、日本語論などを研究。
書籍を読む限り哲学などに精通しているような印象があります。
東大生から様々な感想は寄せられており、大学やその先で求められている学びに対する姿勢が少し分かった気がする。
考えがまとまらないとき、くよくよするのが1番いけない。
今の時代に必要なのは情報を手に入れることよりもしていることなのだ。
など様々な感想が。
飛行機のように自力で舞い上がる人間になるために一体どのようなことを大事にすれば良いのか!?
3.ポイント3点
学校の最優等生が、必ずしも社会で成功するとは限らないのも、グライダー能力に優れていても、本当の飛翔ができるのではない証拠になる。学校はどうしても教師の言うことをよく聞くグライダーに好意を持つ。
新しいことを考えるのに、全て自分の頭から絞り出せると思ってはならない。無から有を生ずるような思考などめったに起こるものではない。既に存在するものを結びつけることによって、新しいものが生まれる。
人間の頭はこれからも、一部は倉庫の役を果たし続けなくてはならないだろうが、それだけではいけない。新しいことを考え出す工場でなくてはならない。
4.岡崎の考察
すごい!驚くべきは、30年も前に書かれたこの本に今出されているビジネス書の大事なことのほとんどが書かれていると言うこと。
思考を整理していく上で大事なステップをまとめるとこのようになります。
①自分で気づき考えることが大事
②なぜを問い続ける
③十分に寝かせる
④セレンディピティを大事にする
⑤メモを多用し知識の倉庫から工場に変わる
⑥不要な知識は忘れる
⑦朝の時間に考える
⑧褒めてくれる友と付き合う
⑨創造性こそ最も人間らしい仕事であることを知る
わかりにくいところに少し注釈をつけるとこんな感じです。
③十分に寝かせる
思いついてすぐ行動ではなく、しばらく忘れてほっておくこと。
そうすると頭の中で考えが熟成され、結果的にまとまった情報になっている。熟成期間は対応するにものによって異なるがよく熟成させたものの方がより高度な考察が可能になる。
④セレンディピティを大事にする
偶然の出会いを大事にすること。自分が考え続けている事に付随して出てきた考えが大きな価値を持つことがある。
⑤メモを多用し知識の倉庫から工場に変わる
知識を蓄えるのではなく(倉庫)、知識を加工し新しい素材に変える(工場)
⑨創造性こそ最も人間らしい仕事であることを知る
機械にはできない、人間にしかできないことをやろう。
すなわちそれこそが創造性、新しいことを作り出す仕事である。
メモの取り方などは最近ご紹介した『メモの魔力』とほぼ同一のことが書かれていました。
知ってか知らずか分かりませんが、大事な事は今も昔も変わらないと言う事ですね。
少し文体が硬く読みにくいところはありますが、不変的な知識を得たいと思う方にオススメです。
5.気になるワード
入門しても、すぐ教えるようなことはしない。
なぜ教えてくれないのか、当然、不満を抱く。これが実は学習意欲を高める役をする。あえて教え惜しみをする。
発見、発明において、セレンディピティによるものはおびただしい。
人間は、褒めるよりもけなす方がうまくできている。いわゆる頭の良い人ほど、欠点を見つけるのが上手く、長所を発見するのは下手なようである。
知る活動の中には機械的側面が大きく、それだけ、人間的性格に問題をはらんでいるとする考え方に立っているからである。