書評

迷えるリーダーがいますぐ持つべき1枚の未来地図

1.今日の一言と本のサマリー

人が2人以上集まれば、必ずリーダーが存在します。リーダーとはまだ見たことがない景色の中で、軌道に立ち、下したことのない決断に迫られるもの。

当然迷いそうにもなるでしょう。しかし、迷っているリーダーについていきたいとは誰も思いません。だから、リーダーとは絶対に迷ってはいけない存在。なぜなら決断責任があるから。では迷わないために何をすれば良いのか?

その答えが1枚の地図を持つということ。

今日ご紹介する『迷えるリーダーが今すぐ持つべき1杯の未来地図』は、そんなリーダーが迷わないために必要な地図を作るための一冊。ご紹介していきましょう。

2.ポイント3点

自分が大変と思えば大変。楽勝と思えば楽勝。

自分で天井設定すれば、それまでだよ。リーダーの思考の器が、チームの器。

高い目標はイノベーションの母だ。高い目標は論理的でなくていいから10倍に設定する。

3.岡崎の考察

リーダーと言われる役割ほど大変なものはなく、その職責に対してリターンが少ないということも少なくありません。しかしリーダーという役割が人を大きく成長させるのも確か。チャンスがあれば可能な限り自分がリーダーシップを張る経験をする事は良いことでしょう。では活躍するリーダーとなるためにどんなことを大事にすれば良いのか。本書のポイントをまとめていきましょう。

①目標は10倍で設定せよ
皆さんご存知のGoogle。Googleは、今や19兆円まで業績を伸ばしている世界を代表する企業の1つです。その成功の秘訣に、目標設定方法があります。
なんと10倍目標を徹底しているというのです。なぜ、Googleには10倍目標が必要なのでしょうか。その背景には、1億人のためになるサービスでないとスタートしないという考え方が浸透されているというのがあるそうです。1億人にまで届けようと思うと、思考の天井を外して、革新的な発想を引き出す必要があるでしょう。
10倍の目標を設定すると、既存のやり方にとらわれず、破壊的に考えることができる。まずは今の目標に丸を1つつけてみてください。

②市場を知る
自分が挑戦しようとしている市場は、右肩上がりなのか、右肩下がりなのか。それによってとるべき行動が変わります。当然ですが右肩上がりで伸びていくと予想される分野で戦っていく必要があります。
ではどのようにすれば自分の市場が右肩上がりで伸びていく市場かを調べることができるのか?専門家に調べてもらったものを購入すると何十万円もします。しかしそこまでお金をかけなくても、簡易的で問題がなければ手軽な方法で調べることができます。
それは、インターネットで検索をすること。当たり前の事のようで、盲点でした。「〇〇市場 市場規模 予測」などと調べれば大概の市場データは出てきます。特にビジネスパーソンは、精密でなくざっくりした情報でも時間を優先しなければならないことが多いです。市場規模の把握のために検索を利用する。ぜひ実践してみてください。

③戦略を選ぶ
自分の市場が右肩上がりであるか、それとも縮小傾向にあるのか。それによってとるべき戦略は変わってくるでしょう。主な選ぶべき戦略は次の4つです。
1.市場浸透戦略
既存の商品を市場に浸透させ、販路を拡大させていく戦略。拡大傾向にあるときに使います。
2.新製品開発戦略
製品のコンセプトが非常に広まり、追加で利用してもらうためにとるべき戦略です。
3.新市場開拓戦略
市場自体が縮小しても、その技術をそのまま応用し、勝負をすることができる市場、顧客を開拓する戦略です。今ある商品では勝負ができなくなっても、技術自体は勝負できるというケースに選択します。
4.多角化戦略
既存のビジネスにこだわらず、新たなビジネスモデルを取り入れ、複数展開していく戦略。ハイリスク、ハイリターン。どの戦略をとるべきかの明確な答えはありません。比較検討し、自分の状態に最も合った方法を選択しましょう。

④リーダーが何をするかを決め、スタッフがどうやるかを考える。
ここまではリーダーがしていく仕事です。ここからはスタッフがやるべき仕事。リーダーが描いた戦略を、具体的にどのように実現していくかを考えるフェーズです。この時リーダーに求められるのは教えることよりも、答えを引き出すこと。つまりコーチング手法。
特に新しい戦略を選択するときには変化が伴います。変化で大切なのは気づき。自己認識。変わらなければいけない、変わろう、ということが自分にとってどういう意味があるのか。そこを認識しなければ、なかなか壊れないものです。
しかし逆に言えば、そこがわかれば、人は変わろうと思う。リーダーは教えることよりも、気づかせることを意識しましょう。

⑤コミットできる、行動目標を掲げる
やるべきことが決まったら、次は目標の具体化です。来年ばかりを扱っていても、ビジネスは前に進みません。では目標を具体的にするために大事な事は何か。それはKPI(評価指標)を明確にすること。
大きな数字(全体的な目標設定)から逆算をして、小さく分解していきましょう。例えば年間売上1億円なら、月間の売り上げは850万円。さらに1日の売り上げは、30万円。客単価は3000円。そのために必要な来客数は100人。などと具体的にしていくと、そのために何をしなければならないのかが明確になるはずです。行動レベルにまで落とした具体的な目標設定をしていきましょう。

⑥惹きつけて、押し込め!
ここまで来たら後は実際に売り込んでいく必要があります。売り込んでいくためにまず必要なのはターゲットを絞り込むこと。誰に、何を売っていくのか。この誰にが明確でなければ売り込んでいくことができません。
また振り込むときにはキャッチコピーの作成や、コピーライティングが不可欠。コピーライティングの基本は、共感→納得→行動の順で伝えること。ちなみにこの順番はスピーチでも同様に使います。魅力的なキャッチコピーとコピーライティングを行い、適切な顧客に売り込んでいきましょう。

内容が整っており、ストーリーとともに伝えているため、とても分かりやすかったです。お勧めの1冊です。

4.気になるワード

あなたに足りないのは、まず、今の商売がどうなっているか、何が課題なのか、という現在地の把握。次に、こうなりたい、という未来像たる行き先の把握。そして、両者を結ぶための戦略。
この3つがわかっていない、見えてさえいない。だから迷っている。
戦略と戦術をしっかり分けよ
地図作成のステップ
ステップ1目標設定
ステップ2市場把握
ステップ3戦略決定
ステップ4戦術検討
ステップ5目標具体化
ステップ6価値伝達
リーダーがしなくて良いこと、これを決めるのも大切なんだ
経験したことがない環境変化に対し、適切な戦略がわからない。
人は一定の経験までは適切な決断ができるが、その経験を超えると、決断ができなくなる。
リーダーのジレンマ
①人は一定の経験内では判断できるが、経験を超えると判断ができなくなる
②リーダーは迷ってはいけないが経験を超える状況にばかり直面する
③変化する環境に戦略をフィットさせることが最も難しい
困難万事己の中。自分が大変と思えば大変。楽勝と思えば楽勝。
自分で天井設定すれば、それまでだよ。リーダーの思考の器が、チームの器。
高い目標はイノベーションの母だ。高い目標は論理的でなくていいから10倍に設定する。
商売の基本は顧客だ。ただ、その顧客コンタクト先を得るための顧客獲得コストというのは、べらぼうに高い。

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