書評

8割の「できない人」が「できる人」に変わる! 行動科学マネジメント入門

1.今日の一言と本のサマリー

教えたことが身に付いていない。わかりましたと言っていてできない。その上、自分の仕事が山積みで教えている時間がない!一体何がいけないのでしょうか?

上司の仕事は次の2つです。
①自分も活躍して業績アップに貢献し
②部下もきちんと育てる

この両方の課題を、会社から与えられた期間内にいかにきちんとやり遂げるか。これは、いわゆる頑張りという精神論で解決できる問題ではないといいます。精神論に走れば走れほど、部下育成の本質を失っていく。行動科学マネジメントは、人のやる気や態度や性格など、曖昧でバイアスのかかりやすい要素に頼ることなく、行動に着目する科学手法です。

現場のマネージャーの悩みを解決する一冊!ご紹介していきましょう。

2.ポイント3点

あなたにしかできないを少しでも減らしていくことが、あなたの仕事を楽にし、部下を育てることにつながります。

あなたの会社に、まず、できないことを指摘する文化があるなら、まず、できることを褒める文化に変えていきましょう。

部下たちをある時点に導きたい時、尻を叩いてそこに追い込むのではなく、ゴールに至る喜びを味合わせることで、自ら次のゴールを目指してもらえるようにしたほうがはるかに得策です。

3.岡崎の考察

何冊かご紹介している行動科学マネジメント。1つの分野のものを、数冊読むと全体像が見え、また重要事項が分かりますね。そこで今日は行動科学マネジメントの要点をまとめるという形で書評にしていきたいと思います。

①私の真似をしては伝わらない
OJTを行い、自分の仕事を見せ、真似をしてというケースが多いと思います。その場では、「分りました!やってみます。」と答えるものの、結局行動につながらない。なぜそんなことが起きてしまうのでしょうか?
そもそもですが、真似できるくらいなら最初から苦労しません。例えば、カラオケが下手な人が、上手な人はどうやって真似ればいいのでしょう。上手な人は、すでに高度な歌い方を習慣化しているので、その骨を問われてもうまく答えることができません。
「その歌手になりきって歌えばいいんだよ」などと、極めて曖昧なことを言い出すのがオチ。これでは、下手な人はどうしようもありません。部下を変える前に、自分の伝え方を変える必要があることを自覚しましょう。

②部下ができない理由は2つだけ
部下がなかなか結果を出せないでいる時、その理由はどこにあるのだと考えますか?もともとの能力が欠けているのでしょうか?それとも、やる気がないからでしょうか?行動科学マネジメントでは上記のいずれでもありません。
次の2つしかないと考えます。
1、仕事のやり方がわからない
2、やり方わかっていても続け方がわからない
この2つの問題を解決することが、部下育成で重要であるということを意識しましょう。

③育成のヒントは具体的な行動の中にある
仕事のやり方がわからないなら、やり方を教える必要があります。続け方がわからないなら、続け方を教える必要があります。ではこの2つのことを教えるために大事な事は何でしょうか?それは徹底した分解、観察、計測です。
やるべきことを徹底的に分解し、実際の行動を観察し、やるべきこととの対比を行い、適切な行動ができているかを計測していきます。
部下の行動をバイアスをかけずに観察し、具体的なアドバイスができるようにしていきましょう。

④結果にフォーカスしたフィードバックを行う
例えば、「斬新なアイデアをできるだけたくさん出してくれ」と部下に指示をしたとします。部下からたくさんアイデアが出るようにするためにはどうすればよいでしょうか?その答えは先行条件で部下を動かそうとせず、結果で部下を動かそうとするという方です。
行動科学マネジメントでは、ABCモデルと呼ばれるものがあります。
・antecedent(先行条件)
・Behavior(行動)
・Consequence(結果)
先述したケースでは、部下たちにとって、行動を起こしたら良いことがあったという結果を上司自らが作り出すことが重要です。人が行動を繰り返す時、先行条件よりも結果の力が大きいのです。つまり、斬新なアイデアを出せという先行条件よりも、斬新なアイデアを出したらメリットがあったという結果にフォーカスして部下を育成するということ。行動すると、良い結果が伴うという環境を作りましょう。

⑤正しいフィードバックの条件
つまり、結果に対して正しくフィードバックすることが、部下が望ましい行動を取るために重要なポイントとなります。人が積極的に行動を繰り返すのは、ポジティブ、すぐに、確かの組み合わせで結果が出る時です。
そういえば何か企画書を仕上げてもらったとします。素晴らしい出来だったよ!とすぐにフィードバックを行うことを毎回確実に行いましょう。ポジティブなフィードバックが、すぐに行われ、しかも毎回確実(確か)である状態がわかれば部下は必ず行動します。このケースで、フィードバックを行ったり行わなかったりすれば3つ目の確かという観点が不確かという形になってしまいます。
ポジティブ、すぐに、確かなフィードバックを行うということを意識してください。行動を細かく分解し、その行動との比較を行い、できることに対してポジティブなフィードバックを繰り返していく。非常に簡単に言ってしまえば行動科学マネジメントの要点はここだと思います。

深く学びたい方、ぜひ読んでみてください。

4.気になるワード

人はなぜ動くのかという理由は、個々全く違うのだから、自分の基準を考えてはいけないのだと。この気づきを得てからというもの、私は、なぜ彼らができないのか?という発想から、どうすれば彼らができるようになるのか?と考えるようになりました。
ゆとり世代を育てる時こそ、彼らの感情や態度ではなく、行動にフォーカスする
結果を出している部下や自分はやっているけれど、結果を出せずにいる部下に欠けている行動をあぶり出し、それを伝えていく
ほとんどの場合、基本的なことができているけれど結果は出せない状況ではないかと思います。こうしたケースでは、ピンポイント行動がわかっていないだけなのです。
チェックリストを用いながら部下教育を行うと、部下は自分の得意不得意にかかわらず、スキルを伸ばしていくことができます。
最初の数回は誰でも正しい行動が取れても、習慣化されないといつの間にか元に戻ってしまいます。
配慮のない叱責によって、悪い行動もしないけれど、良い行動もしない部下を作り出してはいけません
一人ひとりによって異なる、自発的に動く理由(行動マネジメントでは、これを動機付け条件と呼んでいます)を見極める
部下一人ひとりが、どうして今の仕事をしているのかという動機付け条件を、マネージャーであるあなたは理解してなくてはなりません。
部下の考えていることがわからないと悩んでいる上司ほど、部下とのコミニケーションは減っています
落ち込んでいる原因を無理矢理突き止める必要はありませんが、いつでも相談してきてという姿勢は見せる必要があります
自分が困っている時、手を差し伸べてくれない上司に人がついて行きません。いつも自分のことをきちんと見て気にかけてくれる上司になら、部下は心を開き、信頼を寄せることができるでしょう。
部下たちをある時点に導きたい時、尻を叩いてそこに追い込むのではなく、ゴールに至る喜びを味合わせることで、自ら次のゴールを目指してもらえるようにしたほうがはるかに得策です。
感謝上手な上司になろう。がんばってくれてありがとう。この一言を口にすればいいだけです。
メリハリのある職場を作るために、挨拶は非常に重要です。
優先順位より劣後順位こそ重要だと考えています。すなわち何を捨てるかをまず考えるのです。
仕事ができる上司は、自分ができると誇示したりしません。ときには自分の失敗談を部下に語り、学びを与えてあげることができます。
上司であるあなたも自分と同じような失敗をしていたのだと知ることで、彼らは、のびのび動けるようになります。
個々人の成績に絶えず勝ち負けをつける事は得策ではありません。
部下に良い行動を送り返してもらいたいなら、駄目じゃないかというよりも、その調子、その調子!と言える機会を増やしたほうがはるかに効果的です。
あなたの会社に、まず、できないことを指摘する文化があるなら、まず、できることを褒める文化に変えていきましょう。
褒めるときは、良い行動をとったら時間をおかずにすぐにがポイントです。
部下は、間違ったことをしても指摘してくれないような上司を信用しません。
4つほめて1つ叱る位の割合がちょうどいい
望ましくない行動をとった人間が悪いのではなく、望ましくない行動自体が悪い
わからない、できない、という事実ではなく、それをやって人間を批判していることが多い
マネージャー職の忙しさにイライラして、つい人格攻撃をしないよう気をつけましょう。
部下を叱った後は、叱りっぱなしにしないということも大事です。フォローを忘れずに入れてください。
いろいろなレベルの人間がいてこそ、組織が活性化するのだということを肝に銘じ、全体の底上げを図っていきましょう。
1人の部下にMVPを与えるのではなく、少しでも成績を伸ばそうとした多くの部下に努力賞を与えたほうが、チーム全体の底上げにつながる
中途半端に取り入れた成果主義が、多くの日本企業を弱体化させた
大変なことほどチームでやれば効果的
どんなに大変な仕事も、小さな行動の積み重ね
あなたにしかできないを少しでも減らしていくことが、あなたの仕事を楽にし、部下を育てることにつながります。

5.商品の紹介