書評

WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜

1.今日の一言と本のサマリー

人が生きるために必要なものは何でしょうか?

言葉はよくできているもので、人間という言葉自体が表しているように、人は人の間で生きている存在です。

最近特に言われているコミュニティの大事さ。時代の変化とともに、このコミュニティについて、深く考える必要があることが増えているように感じます。

そこで、今日はファンコミュニティの作り方をまとめた一冊。現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティとは一体何か。ご紹介していきます。

2.ポイント3点

今、会社コミュニティはネットに対応できておらず、終身雇用がなくなり、崩壊の危機にある。核家族コミュニティも、晩婚化とそもそも結婚しない人たちが増えて、もはや崩壊している。

コミュニティの中に、強い人、偉い人がいる。この思い込みを全ての人が持っている。本当にコミュニティの中を安全、安心の場にしようと思ったら、その思い込みを、すべてのメンバーが捨てる必要がある。

コミュニティを運営するときは、ゼロから発想しようとせず、学校行事に置き換えることができるイベントを作っておいた方が良い

3.岡崎の考察

今の時代の働き方に、コミュニティというキーワードは外せないものになっているでしょう。
例えば売れている著者の多くは、自分のコアなファンのコミュニティを持っているものです。芸能関係の方なども、強いファンのコミュニティがあると根強く活動を続けることができます。
また個人でも、広いコミュニティと深い関係性があれば、仮に仕事がなくなったとしても次のチャンスを生み出すことがしやすいでしょう。ただし、コミュニティというキーワードは昔からあるものです。それが今なぜ、これだけ強く言われるようになったのか。まずその背景から解説していきます。

①情報の爆発
インターネットが原因で、世の中はなめらかに動くようになりました。以前なら困ったことがあれば、誰かに相談したり、直接買いに行ったりしたものですが、今では困ったらググれば出てくるし、買い物もアマゾンですぐに届きます。なめらかに、スムーズに社会が動くようになった分、人とのつながりが薄くなってしまったといえます。
総務省が発表しているデータによると、2002年のインターネット全体の情報量を1とすると、2020年は6000倍にもなってるといいます。逆に言えばそれだけ情報量が多くなってしまったからこそ、今はどんな情報か?よりも誰からの情報をもとに、意思決定する必要がある時代でしょう。

②ものではなく心の満足を求める時代になった
文化が発達するとは、どういうことでしょうか?多様性があるとか、いろいろな説明があり得ますが、作り手が増える事という定義も可能だといえます。
インターネットによって、弱者を作り手にするのをサポートするサービスが力を持っています。具体的に言えば、クックパッドは誰もが料理人として腕を上げることを可能にしました。Instagramは誰もがカメラマンになるサービスです。
このように全員が作り手となり、自分が作ったものが承認されることによって、心が満足する。これが今の社会の構図となっています。こうして作り手となって、自分のファンコミュニティを持ち、ECサイトを展開する。そのようにすればいわゆる有名人でなくても、自力で稼ぐことが可能な世の中になっていくでしょう。

③ゼロからコミュニティを作る方法
では一体どのようにコミュニティを作れば良いのか?多くの人は一気に人を集めようと躍起になります。しかし残念ながら一気に人を集める事はなかなか難しいです。そこで最初の1歩は、自分の思いに交換してくれる1人を見つけること。自分とその1人で熱狂し、互いにまた1人ずつの仲間を見つける。すると熱狂した4人のコミュニティになります。このように1人ずつ大事にしながらコミュニティを広げていきましょう。
大事なキーワードは「熱狂」。熱狂がない限り、絶対にヒットは生まれません。だからこそ、その中心人物である自分は1番熱狂している人であるようにしましょう。コミュニティの作り方を丁寧に解説しており、熱狂というキーワードが他にはないポイントだったように感じます。

力強いコミュニティを作りたい、そこから収入を生み出したいという方にはオススメの一冊だと思います。

4.気になるワード

孤独は、もともとは精神の病とも言える。そこから抜け出すことが、大人になることだ。孤独は、周りに人がいるかどうかではない。心のつながりの問題だ。
自由と安心、どちらが重要か?人間は、この2つを欲しがる
コミュニティを作るときに、何を意識して、どう工夫しないといけないのか?
社会的であるために、人間が無理している行為が、山のようにある。
車も部屋も買い物も、いろいろなものが、常時ネットに接続されていると、社会はどんどん滑らかになっていく。
身にまとうものがアイデンティティとなる時代は、終わってしまった。
何を手に入れているかよりも、何をやっている人が、なぜやっているかという理由の方が重要になってきたのだ
SNSでフォロワーを多く集めているのは、どんな価値観で生きているかが分かり易く、ぶれない人だ。
情報が爆発すると、どの情報を信頼すればいいか分からなくなる。
情報のひとつひとつに意思決定をするのではなく、どのコミュニティに入るかだけを意思決定する。そうすると、人は情報爆発に対応できるのではないか。
インターネットは、すべての関係をフラット化する。強者の発言も、弱者の発言も、同じ発言として扱われる。
インターネットは、人を幸せにしているのか?
逆に今まで力を持っていたマジョリティーが、今、孤独を感じているのだ。
今、会社コミュニティはネットに対応できておらず、終身雇用がなくなり、崩壊の危機にある。核家族コミュニティも、晩婚化とそもそも結婚しない人たちが増えて、もはや崩壊している。
孤独感が肥満よりも深刻な脅威である可能性があり、その社会的インパクトは無視できないものになっている
社会的なつながりを持つことが、現代人の健康の最優先事項だ。
これから、作家を支えるために必要なのは、健全なファンコミュニティではないか?
エージェントがいること、ファンコミュニティを持っていること、この2つこそがクリエイターが作品に集中できる環境を作り出すために必要だ
新しいことを始めるときに考えるのは基本だ。基本は、時代が変わっても変わらない。表面的な演出などが変わるだけだ。
サービスを設計するときの方向性は2種類ある。時間節約と時間消費だ。
時間節約は、非常に欲望に直結しているから、技術が進歩したときに、多くの人はまずはそこを目指す。
大多数の人は自分の欲望を型にはめてしか理解していない
これからはものではなく体験を得ることになる
情報量が圧倒的になり、すべての産業で組織形態の変化が求められている
一番、成功しているコミュニティは何か?と考えたときに、僕はキリスト教を思い浮かべた。
誰もが作り手の時代。求めるのは、物ではなく心の満足。
熱狂とは、太陽みたいなもの。遠くまでその熱を伝えることができる熱狂は、身近な人を焼き殺してしまう。
熱狂がない限り、絶対にヒットはない
本気の人間が、死ぬ気で熱狂している時だけ、成功できる。安全と安心の確保なんて、2の次どころか、最後の最後に考えること。いや、そんなことを考えだしたら、成功しないのではないか、そのことを忘れられる位、熱中しないとダメだと考えていた。
それぞれの人の状況や立場によって、何を安全、安心とするかは違う。でも、すべての人が、その人なりの安全、安心を確保してから、挑戦しているのではないか?そんなふうに考えるようになった。
仕事のできる人の連絡法は、相手の安全、安心の確保がしっかりされている。
面白さや伝わりやすさは、内容の構成次第だ。
コミュニティの中に、強い人、偉い人がいる。この思い込みを全ての人が持っている。本当にコミュニティの中を安全、安心の場にしようと思ったら、その思い込みを、すべてのメンバーが捨てる必要がある。
モチベーションが高い時、人は自己肯定感が強い
コミュニティを運営していて、安全、安心を確保した後に目指すのは、進行ではなく、信頼だ。
信頼は、未来のことを指す
信頼関係を築くことが、コミュニティにおいては本当に重要だ。
コミュニティに入ったときに何をやるのかがわからないと、人は動くことができない
よくできたネットサービスは、サイトに行くと、一番初めに何をすれば良いのかがすぐにわかって、自然と手を動かすことができる
コミュニティを運営するときは、ゼロから発想しようとせず、学校行事に置き換えることができるイベントを作っておいた方が良い
人生も同じだ。自分の居場所を正確に理解していて、初めて目的地が決まる。
重要なのは、最初の日を起こすところ
良いコミュニティの条件は、入り口のハードルが高く、出口のハードルが低いこと
共犯者の数が作品の強さを決める
安全、安心を確保するとコミュニティは自走する
熱狂とは、成長することか、成長を見守ることで生じます
情報が爆発していると、一回だけでは情報が伝わらない

5.商品の紹介