書評

人生の勝算

1.今日の一言と紹介する本

時代の移り変わりが早い昨今ですが、新しいサービスが生まれては消えるのをたくさん見てきました。
その中には私が子供の頃には考えられなかったような面白いものがたくさんあります。「例えばSNS。
当然ですが私が子供の時はそんなサービスはなく、友人との連絡手段はもっぱら黒電話。
友人と連絡を取るには卒業アルバムを取り出して電話をかけると言うことをしなければいけない時代があったことを、今の若い人たちは想像することもできないかもしれません。
最近あった嬉しいことですが、Twitterを頑張っていたら高校時代の親友と繋がり直せたことです。
そんなことがあるのも新しいサービスのおかげですね。

ソーシャルネットワークの次に何が来るのか?
ということを気にしている方も多いのではないでしょうか。
時代の申し子と言える、株式会社SHOWROOM前田裕二さんは、「ライブストリーミングだ!」と答えたそうです。

今日ご紹介するのはその前田裕二さんの人生の勝算』です。

一体どういった経歴からこのサービスを立ち上げてきたのか?
これからのビジネスや仕事に生かすことができるヒントがたくさんある1冊でした。
それでは、ご紹介していきます。

2.本のサマリー

1987年東京生まれ。2010年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、外資系投資銀行に入社したと言う前田さん。
その後、2011年からはニューヨークに渡り、投資関係の仕事をし、数千億から兆円規模の運用をしていたと言うから凄い経歴だと思います。
そこから、ゼロからイチの価値創出のため、DeNAの難波智子氏に相談したことをきっかけに同社に入社。
2013年11月に仮想ライブ空間SHOWROOMを立ち上げる。SHOWROOMとは、誰もが参加することができ、無料で視聴することができます。そして素晴らしいと思うサービスには直接お金を支払うことができると言うサービスです。

エンターテイメントのあり方に一石を投じたサービスと言いますが、なんとその原点にあったのは子供の時の弾き語りと、街角のスナックだといいます。

弾き語りでは課金の仕組みを、スナックからはコミュニティの作り方を学んだように読み取れました。
正しい努力が報われる世の中にしたいと言う前田氏が何を大事にしているのか。ご紹介していきます。

3.ポイント3点

仲間を増やせば会社全体、そして世の中、地球だって動かせるかもしれないんだよ

誰に仕事を頼みたいか?と言う判断の間では、人情や愛嬌といった人間的な要素が最後の決め手になる

何か特別なことをする必要はなく、当たり前のことを徹底的にやり続けるだけで、他の人とは圧倒的な差がつく

4.岡崎の考察

飲食店経営をしてる関係もあってか、スナックがいかにビジネス的に優れているかと言う話に激しく共感をしてしまいました(笑)
ランニングコストが少なく、原価も小さいので大きなリスクを抱えることなく商売をすることができます。

しかし、原価が少ないにもかかわらず人が集まるのは、コミュニティとしての要素が詰まっているからと言う前田氏。
共感があり、感情のイエスを取れ、適度な余白が存在しています。
完璧なサービスでないところがスナックの魅力だと言うのです。

SHOWROOMのサービスが成り立つ理由はどうやらここにあるようです。
出ている演者たちのほとんどは素人であり、隙だらけともいえます。しかし身近な存在で共感でき、双方向のコミュニケーションが取れるので感情のイエスが取りやすい。そして、完璧では無いからこそ見ている側がその余白を埋めたくなる。

ただ見ている側だった人が、一緒に作るのに回っていくことができるのもテレビとの違いでしょう。そして、課金の仕組みは子供の頃にした弾き語りが原点に。

もし、あなたが弾き語りをするならどんな曲を弾きますか?おそらくほとんどの人は自分のオリジナルの曲をやろうとするのではないでしょうか。
しかし、それでは人は集まってきません。興味を持たれないからです。

まずは誰もが知っている曲を演奏する。
そして、近づいてきた人たちと仲良くなってから自分たちのオリジナルの曲を披露する。

こうして仲良くなった人たちは曲のクオリティにではなくて、そこで生まれた人間関係にお金を支払うことになります。

これが現代社会におけるモノ消費からヒト消費に変わってきているということです。サービスのクオリティでは松田聖子に勝つことができなくても、直接的な人間関係ならどんな芸能人にも勝る関係を作ることができる可能性があります。
これからはヒト消費の時代です。
サービスではなく、自分にお金を支払ってもらえるようになっていきましょう。

5.気になるワード

演者が今まで通り、テレビなどマスメディアに出て、好感度上げて、CMに出たり、1つでも多くのレギュラー番組を持ったりすればよかった時代は、もはや過去のものだと感じています
一方通行ではなく、双方向。作り物より、リアリティ。
新時代のエンターテイメント業界におけるニュービジネスの可能性を、ここで皆さんと一緒に考えたいです。
ちゃんと作戦を立てれば、自分の思い通りの結果に導ける
未知よりも既知
試行錯誤で分かった最も重要な事は、濃い常連客を作ることでした
通り掛かった人が素通りできないような、突っ込みどころを自分の中にどれだけ作れるか。この発想が功を奏しました。
コミュニティ形成は、これから、どんな種類のビジネスにおいても、外せない鍵になる
第一に、コミュニティには、現代人が価値を感じる要素が詰まっているからです。
第二に、絆やコミュニティづくりの成功において、先天的な要因はほとんど関係がないからです。
モノ消費からヒト消費へ
コミュニティが深まる要素として、前述の①余白があること、②クローズドの空間で常連客ができること、以外に、③仮想敵を作ること、④秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること、⑤共通目的やベクトルを持つこと、の3つがあります。
強いコミュニティ形成に必要な第3の要素は仮想敵の存在です。
意識的か無意識的かは別として、ヒットしているものの多くにおいて、コミュニティが機能しています。
僕は、不遇や逆境が、むしろ這い上がるための羽根になると言うこと、そして、正しい努力が必ず報われると言うことを自らの人生を通じて証明したい
人に負けたくないのではなくて、あくまで、自分に課された運命に屈したくない
SHOWROOMで受けるコンテンツは、共感がキーワードです。
待ち合わせ場所を提供し、人間的な繋がりができるコミュニティに、価値が生まれ、人がより多くのお金を、より長い期間にわたって消費する世の中に変わってきています。
ただ完成品を買って受け取るよりも、完成品が出来上がるまでのプロセスを消費したい。
大切なのは、距離感です。
僕の場合は、お客さんが求める曲を一生懸命に練習して、歌うことで、距離を縮めました。
勉強なんかいらないよ。とにかく人に好かれること。
人でも、掃除のおばちゃんでも、受付の人でも、好かれなくちゃだめだ。
仲間を増やせば会社全体、そして世の中、地球だって動かせるかもしれないんだよ
無条件で相手を好きになることを心がけています
よくビジネスでは、人に好かれる能力を磨きなさいと説かれていますが、僕は逆だと思っています。人を好きになる能力の方がよっぽど大事だと思います。
何か特別なことをする必要はなく、当たり前のことを徹底的にやり続けるだけで、他の人とは圧倒的な差がつく
質で勝てない分、量で外を凌駕しないと、パフォーマンスが出せない
仕事は、ゲームだ。ゲームで勝つにはルールがある。
そのルールをお前は、ちゃんとわかってない。だから成果が出ないんだ。
プライドはコミニケーションの邪魔になる
コミニケーションとは、さらけ出すこと
誰に仕事を頼みたいか?と言う判断の間では、人情や愛嬌といった人間的な要素が最後の決め手になる
ハードスキルより重要な人あたりのセンス
思いやりとは、他者の目を持つこと
どんなビジネスであれ、そこに人間が介在する以上、コミニケーションが重要です。そしてコミニケーションに求められることは、シンプルです。相手の立場に立つことです。
モチベーションはどんな仕事術にも勝る
頑張ると言う言葉を分解すると、見極めてやり切ると言うことになります。
モチベーションが高まらない人の多くは、見極めが甘い。
人の3倍の密度で生きる
自己分析の目的は、人生のコンパスを持つことだと思っています。
僕は、ビジネスや勉強が大好きです。
なぜなら、正しい方法で、やればやるだけ必ず成果が出せるから。
僕は、愚直に何かに打ち込む人、夢を持って努力を継続する人が、シンプルに大好きです。
でも、実際には、努力しても報われないことが多い。それは真実です。
だけど努力をしないことには、成功はありません。
飢餓から解放され、インフラも満たされ、最低限のセーフティーネットが整備された国家においては、人々の欲求の居所は階層を上り、より高次な承認欲求、尊厳欲求と進化していきます
事業や、実業は、生半可な覚悟じゃ作れない。胆力が重要だ。
僕は、ソーシャルネットワークの次は?と聞かれたら、ライブストリーミングだと、即答します。
世界には、2種類の逆境があります。
それは、努力や熱量で乗り越えていけるものと、本人の努力だけではどうしようもないもの。
私がインドで出会った少年は、後者の境遇に置かれていました。
彼に問題があるのでしょうか。私は、決してそうではないと考えます。
仕組みや構造を作っている側にこそ責任があり、だからこそ、我々には、構造自体を改革する能力が備わっているはずです。

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