1.今日の一言と本のサマリー
多くのビジネスパーソンの悩みの1つが人材育成。
思ったように育ってくれない、いつまでも仕事を覚えない…などと感じていませんか?では人が育たない原因は、教え手の上司と、学び手となる部下のどちらの責任でしょうか?
今日ご紹介する書籍『教える技術』は、行動科学マネジメントに基づき教えることにおいて大切なことをたくさん教えてくれる内容になっています。先程の質問の答えですが、行動科学マネジメントの立場に立って答えるなら、教え手が教え方を知らない。原因はこの1点に尽きるといいます。つまり上司の問題です。
ビジネスの成果や結果は、すべて社員一人ひとりの行動の集積によって成り立っています。ですから、結果や成果を変えたければ、行動を変える以外に方法はありません。では行動を変えるためにどう教えれば良いのか?ご紹介していきます。
2.ポイント3点
問題解決のカギは心ではなく行動にある
部下や後輩を成長させたいと心から望んでいるのなら、仕事の結果だけに注目するのではなく、部下や後輩の仕事ぶり(行動)を認めることの大切さを認識しなければなりません。
仕事がわかっていない人、教えてもできない人を引き上げるには、確実にできる課題を与えて100点を取らせること
3.岡崎の考察
本日ご紹介するこの書籍は、幼児教育のプロ、小川大介先生にご紹介いただきました。人材育成に関わる人はぜひ読んでほしいと思う一冊でした。ではまず、なぜ部下が育たないのかという観点からご紹介していきます。
①部下が育たない原因
大きく3つの原因が挙げられています。
・1つ目の原因は、仕事は盗んで当たり前という考え方。
当然ですがこの考え方では、人は育ちません。
・2つ目の原因は企業に求められている人物像の変化。
高度成長期と違い、会社の命令に従い、コツコツ真面目に働かなければ役にたたなくなってしまった時代背景があるでしょう。
・3つ目の原因は、価値観の多様化。
生まれた時からものがあふれている環境で育った人と、一昔前のとにかく給料もらうために頑張ろう!という人とでは当然ですが価値観が違います。自分がやってもらった事が正解と考えず、時代の変化に合わせた人材育成を考える必要があるでしょう。
②離職率はコミュニケーション量に反比例している
信頼関係がなければ何を教えたところで聞く耳を持ってもらえません。そこで大事なのが仕事の話ができる土台作り。それほど難しいことではありません。いきなり仕事の話をせず、プライベートの話からすれば良いのです。ちなみに、会社員の離職率は、上司とのコミュニケーションの量に反比例することがわかっているといます。そこでコミュニケーション量を増やすためにお勧めの方法が、部下と、いつ、何分ぐらい、会話をしたのかを、手帳に記録するという方法です。
記録することでコミュニケーションを取ろうという意識も上がり、コミュニケーション量が当然増えるでしょう。
③やらないことリストを作る
一般的には優先順位を決めることが重要と伝えられますが、石田先生は、劣後順位を決めることこそが重要だと言っています。劣後順位とは、しなければならない事の中で特に重要だと思う2から3個の仕事に絞り、残りは全部やらないと決めてしまうこと。つまり部下に対してすべき事は、やらなくて良いことを明確にしてあげることだといいます。
④分りました!をあてにしない
部下や後輩に、わかった?と尋ね、分りました!という言葉を信じて見守っていたら、本人は全くわかっていなかったなんて言う事はよく見かけられる光景の1つだと思います。何かを教えたら、その都度、本当に理解したか?本当に身に付いたか?を確実に確かめることを必須事項にしてください。
ではどのように確認したら良いのか。
1、復唱させる
2、レポートを書かせる
3、成功パターン、失敗パターンを考えさせる
などとするのが良いでしょう。
⑤行動の分析をする
行動を変えるというところに焦点を当てていうのが行動科学マネジメントの特徴だと思います。そこで大事なのが行動の分析。
例えばペットボトルの水をコップに注ぐ、という行動分析すると、ペットボトルを見る、ペットボトルに向かって手を伸ばす、ペットボトルをつかむ、ペットボトルを引き寄せる、キャップをつかむ…と細かく分析することができます。
仕事もこのように細かく分析すると良いでしょう。そしてその分析した行動から、できていない行動を1つずつ改善する。気合と根性ではなく具体的な行動レベルに落とし込むことが大事です。
とても勉強になる素晴らしい書籍でした。人材育成に悩んでいる方、ぜひ読んでみてください。