書評

決断の経営

1.今日の一言と本のサマリー

決めたいのに決められない。そんなことありませんか?

私たちは日々、様々な面で決断を迫られています。仕事の場の問題であれ、人生上の問題であれ。決めにくい問題もある。決めたくない問題もある。決めることが難しい事柄もあろう。けれども、だからといって、決めないままで日々を送っていては、ことが進まない。問題は解決しない。より良い姿は生まれない。

経営の神様、松下幸之助は一体何を考え、どう決めてきたのか。ご紹介していきます。

2.ポイント3点

自分の利害がどうだとか、自分の立場がどうこうというか、自分の評判、声価といったものを中心に考えていると、なかなか物事が決められない

素直に全体のためにはどうあるべきかを考えてみることが大切である

大切な事は、決断そのものよりも、決断したことをいかに辛抱強く実現していくか、ということだ

3.岡崎の考察

実はこの1冊、僕がソフトバンクを辞めて独立しようと決めた背中を押しをしてくれた一冊です。会社員としても出世しているし、副業でもそこそこ稼いでいる。

このままでもいいんじゃね?

なんて思っていた時に、迷うくらいなら進んだほうがいいし、もしうまくいかなくなっても、サラリーマンに戻ればいいだけだと思わせてくれました。

そんな『決断の経営』の中からご紹介したい4点ご紹介します。

①自分の損得で判断しない。
私の判断の基準としては、自分の商売の損得というものは自ずと大木になっている場合が多かったように思う。松下幸之助は物事を判断し、決断する場合には、生成発展という点を念頭に置くようにしていたといいます。生成発展とは、一言で言うと、日を新たにということです。すべてのものは絶えず動き、絶えず変わり続けます。それは世の中の摂理であり、自然なことです。
世の中が変わり続けるのであれば、会社の経営も変わり続ける必要があります。そんな変わり続ける経営方針の中で変えてはならないのは、常に何が1番正しいのか。自分の損得ではなく、世の中のプラスになることを経営方針にしたといいます。

②人生に失敗などはない
松下幸之助が独立に踏み切った理由は3つだそうです。
1.会社生活がもの足りなかったこと。
2.父親から、商売で身を立てるのが1番お前のためだ。商売で成功すれば立派な人を雇うこともできるのだから、給仕などするのではないと言われていたこと。
3.自分がやりたい仕事に専念してみたいという気持ち
そして、失敗してもともとという言葉もありますが、毎日失敗としてもそれはそれで良い。その時はその時でまたコツコツやろうと決めていたといいます。ちなみに事業に失敗したらどうしますか?という質問を受けたときには、「うどん屋にでもなって、屋台をひいて商売します。」と答えたそうです。

③常に正しい道を選択する
昭和4年の暮れ、松下電器は業績が非常に悪化しました。結果的に従業員を半数に減らさなければならないという状態。倉庫には売れ残った在庫の山。

一体どんな決断をしたのか?

結論は1人も従業員を解雇しませんでした。その代わりに必死になって在庫の山を売りさばいたといいます。苦しいから人を切るという安易な選択ではなく、本質的な問題、売り上げの向上に努める。冷静に考えれば当たり前のことですが、なかなかこのあたりまえのことができないことも多いでしょう。

④不可能だからできる
物事というものは、できることでもそれをできないと思っている限り、やはり実際にできないのではあるまいか。根性論に聞こえるかもしれませんがとても大切なことだと思います。できるかできないかは、自分ができると決めているが、できないと決めているかの差に現れているでしょう。できそうにないことでも、なんとかやればできると考えて努力すれば、案外できてしまうことも多かったりします。
松下電器にもそんな不可能を可能にしたエピソードがあります。カーラジオをトヨタにおろしていましたが20%の値下げを要求されます。実は利益率はたったの3%。つまり20%値下げすると17%の赤字です。しかし、その要求は日本の自動車業界にとって必要なことであり、トヨタも無理をわかって言っている。であるならば必ず実現しようと決め、一年後に20%の値下げと利益の確保に成功します。

まずやると決めることが大事なのでしょう。人生において大事なことをたくさん教えてくれ、勇気を与えてくれる一冊。ぜひ手に取ってみてください。

4.気になるワード

迷う時もあろう。どうしたらいいのかわからない時もあろう。それは人間誰しも同じだと思う。だから、お互いに、他の知恵に耳を傾け、衆知を集めて、望ましい判断、決断を求めていきたい。
大切な事は、なすべきは私心を離れて断固を行うということである
自分の利害がどうだとか、自分の立場がどうこうというか、自分の評判、声価といったものを中心に考えていると、なかなか物事が決められない
素直に全体のためにはどうあるべきかを考えてみることが大切である
決断が最後のゴールではなく、むしろ物事の始まりだ
大切な事は、決断そのものよりも、決断したことをいかに辛抱強く実現していくか、ということだ
意見を恐れていてはなすべきこともできない。自分の身の安全ということを一応度外視し、危険にあえて立ち向かう、そうしてこそ道が開けることにもつながってくる。
人の協力を得るためには、ただ協力をお願いするだけでは足りないであろう。やはり、そのためには、相手が納得し、共鳴するだけの説得が必要だと思う
よくなってほしいと願うだけでは、それはなかなか実際の姿となって現れてはこない
人間は、誰しも、夢を描いてその実現に向かって懸命に歩んでいるときには、いろいろな点から見て好ましい姿を現す
夢を、1人ではなく、お互い共通のものとしてその実現に力と知恵を寄せ合うとき、そこになごやかなうちにも力強い歩みが生まれ、生きがいのある人生も現れてくる
私自身は日ごろから、力いっぱい、精一杯働くことに生きがいと喜びを感じ、味わっていた
見方を変えるということも、決断を行うためには非常に大切なことの1つではないか
ある仕事を人に任せるという場合には、その人にどれだけの熱意があるかが1つの目安となる
困難に直面した場合には、それを冷静に判断することが大切である。そして、これはこうすることが正しいとなれば、それに命をかけて取り組むことである。曖昧な態度で妥協すれば断られるかもしれないが、それではより良いものは生まれてきにくいのではないだろうか
人間は、問題が起こった際には、他人のせいだと考える前に、まず自分のせいではないかということを、いちど考え直してみることが非常に大切ではないか
例えば協力工場の製品を仕入れる際にも、必ず相手が適正に儲けているかどうか確かめ、無理のない姿で適正な利益を得ている場合にのみ、その製品の仕入れを進めるようにしてきた。
仕事というものは、その難しさを考えるよりも、やればできるのだということを常に念頭に置くよう心がけることが肝要だとつくづく感じた
お互い一人一人が、自分の責任を正しく果たしていくことが非常に大切だ

5.商品の紹介