書評

本屋を守れ 読書とは国力

1.今日の一言と本のサマリー

皆さんは本屋には行っていますか?読書離れが著しく、街の本屋さんが潰れていく昨今。最近では月に1冊も本を読まない中高生や、移動時間に新聞や文庫本を読まず、スマホしか見ない大人たちに溢れています。

この現状を見て、国力が下がると主張する方がいます。

今日ご紹介する本の著者である、藤原正彦先生。『本屋を守れ 読書とは国力』ご紹介していきましょう。

2.ポイント3点

個性尊重の教育は、結局ファッションの多様化位しか生み出さなかった。

人間の判断力は、自分の経験を通じても形成されるけれど、いかんせん1人の人間の経験は限られている。そういう中、唯一、時空を超えさせてくれるのが読書なのだ

小さい頃に読みを徹底して、先人の知恵に学び、また、個人では経験できない様々な感動に涙を流す。これなくして教養は育ちません。

3.岡崎の考察

今の日本はあらゆる分野でおかしくなっています。しかも、そのおかしさ、危機というのが、部分的、局所的なものではなく全身的な症状に及んでいる。

つまりは、日本という国家の体質そのものが非常に低下してきているというのが本書の大きな主張です。個性や、創造性、生きる力、ゆとり。そういった美辞麗句ばかりがまかり通ったこの数十年。

特に今の大学生は、小学校以来個性尊重の教育を受けてきています。その教育方針について藤原先生はこのようにおっしゃっています。個性が、全く育っていないんです、独創性も創造性も。皮肉なことに、標語人間とかマニュアル人間ばかりが目につく。自分の頭で考えようとしない人間ばかりが目立つ。

個性尊重の教育は、結局ファッションの多様化位しか生み出さなかった。この原因は、教養のなさだと主張しています。小さい頃に読みを徹底して、先人の知恵に学び、また、個人では経験できない様々な感動に涙を流す。これなくして教養は育たないといいます。

人間の判断力は、自分の経験を通じても形成されるけれど、いかんせん1人の人間の経験は限られている。そういう中、唯一、時空を超えさせてくれるのが読書なのだ。つまり読書をすることで、教養を身に付け、判断力の幅を広げ、1人の考えではなく先人の知恵を借りられる。だから読書が重要であるということを伝えています。

またグローバル化の流れについてもこのように論じています。国際社会において当然とされていることなどうっかり真似したら、日本の国柄を損ない、国家の品格を落とす一方です。そもそもですが日本の文化や自然、成り立ちを話すことができずに、ただひたすらに英語の勉強をするというのはおかしな話です。せっかく英語を勉強したところで伝えるものがありません。

英語ができ、国際社会で活躍できるのであれば、イギリス人は世界で活躍することができるはずです。しかし、イギリスは20世紀を通じて斜陽を続けています。

英語ができる=国際社会で活躍できるでは無いのです。

読書を通じて日本を知る。情緒や判断力、論理的思考を育てる。それが国力に通じる。国際情勢について少々過激な発言はありますが、考えさせられる1冊でした。

4.気になるワード

国語力なくして国力なし
自分の頭で考えようとしない人間ばかりが目立つ
個性尊重の教育は、結局ファッションの多様化位しか生み出さなかった。
現代社会を動かす論理的思考力とは、数学的なものではなくて、言語技術とか表現技術
世界に通用する人物という意味で、国際人がありうるとしたら、4つの愛が必須条件になると思います。家族愛、郷土愛、祖国愛、そして人類愛。
常用漢字1945字(現在は2136字)を全部小学校のうちに読めるようにしよう
2136字の漢字なんて、記憶力の良い小学生たちなら簡単に覚えられる
小さい頃に読みを徹底して、先人の知恵に学び、また、個人では経験できない様々な感動に涙を流す。これなくして教養は育ちません。
教養がなければ大局観が磨かれない
育った時代によって人間が全く異なってくる
人間の判断力は、自分の経験を通じても形成されるけれど、いかんせん1人の人間の経験は限られている。そういう中、唯一、時空を超えさせてくれるのが読書なのだ
人間の深い情緒は、孤独な時間から生まれます。
語彙の獲得は絶対的な使命である
スマホが読書による教養、国語力を破壊する
人間は思考の結果を語彙で表しているばかりではない
情報というのは知識や教養まで高めなければ使い物にならない
情報を知識、教養にまで高めるには、結局のところ本を読むしかない
本が役に立たないという公理主義は、私に言わせれば愚の骨頂です
英語など、教養の前には何の役にも立たない
人間にとって、情報がいくら増えようと無意味である
適正に選択されない情報はいくらあっても無価値
出発点の仮説を選択する際、決め手になるのがまさに情緒です。
情緒が人間の抑止力になる
私はアメリカとイギリスに留学し、また世界各地を旅するたびに、道徳規範や思いやりなどで日本は他国を圧倒的に引き離しているという印象を深めています。
この誇るべき事実を、外国の真似ばかりするのは危険です。いくら英語を学んだところで国家の栄えに結びつかない事は、20世紀を通じて作業を続けたイギリスが劇的に証明しています。
わが国の初等教育の真髄は、読み書き算数という基本の徹底にあります。
英国紳士にとって不可欠なものは教養だから、いくら大富豪になっても教養がないものは紳士階級に入れない
孤独こそが創造の源である
インターネットやスマホは、若い人々から思考や深い情緒の成長を奪っている
日本は異常な国で良い。普通の国になってはいけない。
国際社会において当然とされることなどをうっかり真似したら、日本の国柄を失い、国家の品格を落とす一方です。
確固たる日本人としての根を持たないと、新しい主義主張が海外からやってくるたびに、いとも簡単に圧倒されてしまう。
自らの人生に足りない経験を補い、新しい世界に導いてくれる本の価値を味わうことなしに人生を終えるのは本当にもったいない。寿司も餃子も食べないで人生を終えるようなものです。
3人よれば文字の知恵は嘘だ。馬鹿が3人よれば、3倍馬鹿になる

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