書評

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代

1.今日の一言と本のサマリー

今日からフォーマットを少し変えました。今日の一言と本のサマリーを一緒にさせてもらっています。何か特別な時々ネタや、お伝えしたいことがあれば最初に一言入れながら本のサマリーを紹介する流れにしたいと思っています。

さて今日ご紹介するのは、アダム・グラントの、『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』世界ナンバーワンビジネススクール、ペンシルベニア大学ウォートン校の史上最年少修身教授の1冊。

新しい人と人との関係が、成功と富とチャンスのサイクルを生む。そしてその新しい人と人との関係は3つの役割によって成り立っています。

①ギバー(人に惜しみなく与える人)
②テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)
③マッチャー(損得のバランスを考える人)

それぞれの特徴と可能性を分析し、これからの仕事、生き方の可能性を示唆した本作。与える人、ギバーの勝利戦略とは?

2.ポイント3点

即効性や確実性を求めている人は、ギバーにはなれない。与える人が成功するというロジックは、現象として起きるまでに非常に時間がかかる。

成功するギバーは、自己犠牲ではなく、他者志向性を持っている。

成功の秘訣は嘘みたいにシンプルだ。それは、思いやりをもって相手に質問をし、辛抱強く話を聞くこと

3.岡崎の考察

ほとんどの人は、与える事は良いことだ。与える人でありたい、周りの人に喜ばれる自分でありたい、そう思っているのではないでしょうか。

そしてやったことが帰ってくる、良いことをすれば後から良いことが戻ってくるから、与え続けていこう、そう考えている人も多いと思います。

ただ衝撃の事実があります。

ギバーはテイカーに比べて収入が平均14%低く、犯罪の被害者になるリスクは2倍、人への影響力も22%劣ることがわかっています。

つまり与える人の方が大きく損をしている事は多いということです。するとギブすることよりもテイクすることの方が価値が高いということでしょうか?

さらにもう一点面白い傾向性が紹介されています。

一番生産性の低いエンジニアはほとんどがギバーである。ところが最も生産性の高いエンジニアも、やはりギバーだったのだ。
つまり、最も成功する人と最も成功しない人がギバーであるということです。なぜこのようになるのでしょうか?
その答えは時間差にあります。ギブしたものが戻ってくるには非常に時間がかかります。長い目で見ると成功しやすいのはギバー。しかし短期的に見て最も損しやすいのがギバーでもあるのです。

ギバーが勝つと、みんなやんやと声援を送り、非難することなどない。その成功が、周囲の人々の成功を増幅させる
ギバーはいい人ですから、その人が成功するとみんな喜びます。敵対する人がいません。敵がいないなら成功するのはより簡単になります。さらにこの人のように成功したいという人も増えますから、ギバーの成功は周りをプラスの方向に持っていく効果性があります。
「ギバーである事は100メートル走では役に立たないが、マラソンでは大いに役に立つ」ということなのです。では、成功するギバーになるために大事な事は何でしょうか。その答えが他者思考になるということです。
他者思考になるという事は、受け取るより多くを与えても、決して自分の利益は見失わず、それを指針に、いつ、どこで、どのように、誰に与えるかを決めること。つまり相手に多く花を持たせながら、自分もちゃんと利益を確保するという姿勢を持つこと。

当然ですが自己犠牲ばかりしていては長く持ちません。多くのギバーは自己犠牲で終わってしまうため、最も成功を収めないという結果に陥ります。与えてばかりで損してしまっているな、と感じている方がいらっしゃったら、ちゃんと自分の利益も確保する、その事は決して悪いことではないということを自覚してみると良いでしょう。

このほかうまくいくギバーの傾向性を具体的な事例で紹介してくれている本書。辞書寄りで、少し読みにくいところがありますがお勧めの1冊でした。

4.気になるワード

テイカーが前提とする因果関係論はこうなる。彼らにとっては、目的はあくまでもテイクにある。なんでも自分中心に考え、自分の利益を得る手段としてのみ、相手にギブする。
ギバーは思考と行動の順番が逆になる。まずギブしようとする。相手のことを考え、真っ先に相手に与える。その時点では頭の中に、目的としてテイクがあることわけではない。それでも、結果としてギブが自分に返ってくる。
人間関係の損得はお互いに五分五分であるべきだと考える人たちもいる。これが著者のいうマッチャー(バランスをとる人)だ。
ギバーこそが成功するという著者の主張は、ある条件のもとで成り立つ
即効性や確実性を求めている人は、ギバーにはなれない。与える人が成功するというロジックは、現象として起きるまでに非常に時間がかかる。
ギバーである事は、考えてみれば人間の本性だ。もともと人間が持っている本性を正面から見据えて理解すれば、人間は自然とあるべきギバーに戻っていく。
他者に利益をもたらすためには、自己犠牲は必要ない
成功するギバーは、自己犠牲ではなく、他者志向性を持っている。
自分にとって意義のあることをする。自分が楽しめることをする。この条件を満たされれば、ギバーは他人だけではなく、自分にも与えることができる
ささやかであっても必ず自分以外の誰かのためになるから、仕事として成立する。
この人は頼りになるな、役に立ってくれたな。人にそう思われて初めて仕事になる。
テイカーの頭の中は自分の評価でいつもいっぱいになっている。
大きな成功を収める人々には3つの共通点がある。それは、やる気、能力、チャンスだ。成功とは、勤勉で、才能があり、かつ幸運な人々によって達成されるものである。
ギバーはギブアンドテークの関係は相手の利益になるように持っていき、受け取る以上に与えようとする。
テイカーが自分を中心に考えるのに対し、ギバーは他人を中心に考え、相手が何を求めている限り注意を払う。
ギバーになるのに何も並外れた犠牲は必要ない。ただ他人の利益のために行動することを心がけ、助けたり、助言したり、手柄を分け合あったり、渡をつけてやったりするだけだ。
調査によれば、成功から程遠い人いるのは、ほとんどがギバーだ。
ギバーはテイカーに比べて収入が平均14%低く、犯罪の被害者になるリスクは2倍、人への影響力も22%劣ることがわかっている。
一番生産性の低いエンジニアはほとんどがギバーである。ところが最も生産性の高いエンジニアも、やはりギバーだったのだ。
最も成功する人と最も成功しない人がギバーである
先に与える人こそが、後で最も成功する
ギバーが勝つと、みんなやんやと声援を送り、非難することなどない。その成功が、周囲の人々の成功を増幅させる
ギバーは成功から価値を得るだけでなく、価値も生み出す。
誰もが勝たせようとしてくれれば、勝つのは簡単だ。周りに敵がいなければ、成功するのは簡単になる。
関係者全員が得をすべきだ
人脈には主に3つのメリットがある。それは、個人的な情報、多種多様なスキル、そして権力である。強力なネットワークを作ることによって、知識、専門技術、影響力を利用できるようになるのだ。
豊かな人脈を持つ人はより高い業績を達成し、昇進も早く、収入も多いことがわかっている。
利他的に振る舞えば振る舞うほど、人間関係からさらに多くの恩恵が得られる
人を助け始めると、評判がどんどん高まり、自分の可能性の世界が広がる
媚びへつらうことにかけては、テイカーは一流のペテン師だ。
テイカーは自分のことで頭がいっぱいなので、3人称の代名詞(私たち)より、1人称の代名詞(私)を使うことが多い。
テイカーは自分のことを優れた人間とみなしているので、給料が大幅に違うのは当たり前だと思っている。
多くの人は弱いつながりの方からずっと多くの利益を得ていた
強いつながりは絆を生み出すが、弱いつながりは橋渡しとして役に立つ
成功の秘訣は嘘みたいにシンプルだ。それは、思いやりをもって相手に質問をし、辛抱強く話を聞くこと
価値を交換するのではなく、価値を増やすことを目指す
テイカーは、自分を偉く見せて、有力者に取り入るためにネットワークを広げ、一方マッチャーは、人に親切にしてもらうためにネットワークを広げる
密接に結びついた社会は、人間関係や個人の評判をより見えやすくしている。これはつまり、テイカーである代償も、ギバーである利益も、どちらも増幅するということだ。
寛容であることをモットーに人と関わっていれば、見返りもおのずとついてくる
天才と天才を育てる人の違いについて述べている。天才はテイカーになる傾向があり、自分の利益を大きくするために、他の人財力、知力、エネルギー、能力を奪う。
天才を育てる人はギバーになる傾向がある。彼らは自分の知力を使って、他の人々の知性や能力を増幅して、ひらめきを引き起こし、アイデアを生み出し、問題を解決させる
ギバーは、頼り合うことが弱さだと考えない。それよりも、頼り合うことが強さの源であり、多くの人々のスキルをより大きな利益のために活用する手段だと考えている。
成功したギバーは、自分だけでなくグループ全員が得するように、パイ(総額)を大きくする。
ギバーとして信用を得ると、ちょっと大胆で、挑戦的なアイデアを出しても、周りに特別に認められてしまう
うまくいかないときは自分が責任を負い、うまくいってる時は、すぐに他の人を褒める
人を真の意味で助けるには、自分のものの見方の外に出なければならない。
成績の良くない生徒や、差別を受けているマイノリティーグループの生徒の成績と知能検査のスコアを向上させるには、教師が生徒に対し期待を抱くことがとりわけ重要だ
才能を見つけることから始めているのがダメ
人が才能を伸ばすきっかけになるのは、やる気である
粘り強さは、その人がどこまで可能性を発揮できるかを予測する大きな要因になる
ギバーには、自分の決断が同僚や会社に与える影響の方が重要なので、長い目で見てより良い選択をするためなら、さしあたって自分のプライドは評判が打撃を受けても構わないと考える
テイカーが、自分こそが1番賢い人間になろうと焼きになるのに対し、ギバーは、たとえ自分の信念が脅かされようと、他人の専門知識を柔軟に受け入れる
成功とはいかに人に影響与えられる日が決め手になる
テイカーは、弱みをさらけ出せば、自分の唯と権限を危うくすることになると心配する
弱みを見せることで、リバーは信望を集めている
交渉上手はかなりの時間を費やして、相手側の視点を理解しようとしている
テイカーは強気な話し方をする傾向があり、独断的で、率直だ。一方、ギバーはもっとゆるい話し方をする傾向があり、控えめな言葉を使って話す。
控えめに話さないほうがいい立場が1つだけある。それは、リーダーシップを担っている場合だ。
ギバーにとって有利な交渉術がある。それは、アドバイスを求めることだ。
自分に権威がない場合に人に影響及ぼすための、驚くほど効果的な方法である。
知識のある同僚にしょっちゅうアドバイスや助けを求めている人は、全く求めない人よりも、上司のウケが良い
人間は自分の時間、エネルギー、知識や情報を投資して誰かを助けると、相手がそれに値する人だと必死で信じようとする。だからこそ、お願いは、誰かを自分に関わるための実に巧妙な方法なのである。
人間というのはアドバイスを求められるのが大好き
与えることも度が過ぎると、自分を犠牲にして、周りやネットワークのつながりのために尽くして終わり、ということになってしまう。
他者思考になるという事は、受け取るより多くを与えても、決して自分の利益は見失わず、それを指針に、いつ、どこで、どのように、誰に与えるかを決めること
ギバーが燃え尽きるのは、与えすぎたことよりも、与えたことでもたらされた影響を、前向きに認めてもらえないことが原因
ギバーは、与えることに時間とエネルギーを注ぎ込みすぎるせいで燃え尽きるのではない。困っている人をうまく助けてやれない時に、燃え尽きるのである。
他者の事だけでなく自分自身のことも思いやりながら、他者思考的に与えれば、心身の健康を犠牲にする事はなくなる
周囲からサポートを受けることこそ、燃え尽き防止の強力な特効薬だ
男女問わず多くのギバーを悩ませている3つの罠。信用しすぎること、相手に共感しすぎること、臆病になりすぎること
ギバーが手強いテイカーと仕事をすることになったら、生き延びるのは不可能です。
テイカーと付き合うときには、マッチャーになればいい
良い行いは決して忘れず、悪い行いを時々多めに見る
人に惜しみなく与えること自体が危険なのではなく、誰に対しても、たったひとつのギブアンドテイクのやり方で対応することの方が、よっぽど危険なのだ。
成功するギバーの多くが、人は皆善人だという信念から出発するが、同時に、周囲の状況を注意深く観察して潜在的なテイカーを割り出す。

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