1.今日の一言と紹介する本
うちのオフィスからは東京タワーとともに、富士山がよく見えます。
夏と冬では景色が違う。
夏の空気は水分を含んでいるので富士山は見えません。
どんなに天気が良くても富士山は空気の膜に覆われて姿を隠してしまいます。
でも、冬の澄んだ空気が違うんです。
薄いモヤが晴れ、透き通った空気を通してみる富士山。毎日の忙しさで景色を見る余裕もない方がいるかもしれません。
久しぶりに遠くを眺めてみてはいかがでしょう?
冬の澄んだ空気は、きっと心のモヤもハラしてくれるはず。
それでは今日の書籍『正義の教室 善く生きるための哲学入門』をご紹介していきます。
2.本のサマリー
もしあなたが消防士だったとして、こんな悲劇に出会ったらどんな選択をしますか?
非番のその日、自分の娘を迎えに保育園に行くとある惨事が。
保育園が火事になってしまっている。
中から聞こえてくる悲鳴。
慌てて娘を助けに火の中に飛び込む父親。
火が回ってくる中、選ばなければならない現実が。
自分の娘1人だけを助けるか、それとも自分以外の子供たち30人を助けるか…
自分の娘を助けるとそれ以外の30人を助けることができない状況。
究極の選択の中で人は善く生きるためになにを選択すべきなのか?
著者飲茶さんは哲学や科学などハードルの高いジャンルの知識を、楽しくわかりやすく解説したブログを立ち上げ人気となりました。
本書は学園ストーリーという形で、わかりやすく哲学について考えることができる書籍になっています。
本当の正義とは何か?善く生きるとはどんな生き方か?
「サンデル教授の正義論よりずっとためになる」と話題の一冊。
3.ポイント3点
本人が今まで無自覚に信じてきた正義について、その定義や問題点を明らかにする事は、傷つくことかもしれないがやはり有用な事だ
正義は、答えを出してはいけない
やっぱり僕たちは、今この瞬間に、善い、正しい、と思ったことをして生きていくしかないのです。なぜなら、自分が善いと思う生き方をしない限り、僕たちにとって、自由で幸福な人生は起こり得ないからです。
4.岡崎の考察
「人間は考える葦である」パスカル。
哲学というと難しく捉えがちですが、シンプルに言えば考えるということでしょう。正義とは何かを考えること、これはすでに2000年以上考え続けられているテーマです。
我々は、正義とは何か、正しさとは何かを問いかけるべきである。
なぜなら、我々はみな、正しさを求める存在であり、何らかの正しさを基準にしなければ考えることも生きることもできない存在であるからだ。
正しさ、善さ、正義…
一体何を基準にこれらを判断することができるんでしょうか?
冒頭で挙げた消防士の例。
より多くの人を救うべきなのか、
自分にとって大事な人を救うべきなのか、
消防士という立場を優先すべきなのか、
父親であるという立場を優先すべきなのか…
この手の認識実験は自分が実際にその立場ならどういった判断をするのかといった視点が重要になるでしょう。
第三者であるなら30人の子供たちを救うのが正しいように思います。
消防士としての立場を優先しても同じです。
しかし父親としての立場を取るなら果たしてそれは正しいことでしょうか?
正義の判断基準はたった3つ
平等、自由、宗教
平等の正義を実現するには→功利主義(幸福を重視せよ!)
自由の正義を実現するには→自由主義(自由を重視せよ!)
宗教の正義を実現するには→直感主義(道徳を重視せよ!)
平等の正義を選択するなら、最大多数の幸福を優先すべきということになります。
つまり冒頭のケースの場合30人を救うべきという判断になります。
自由の正義を選択するなら、どちらを選ぶのも自分の自由なので、どちらであっても正解です。
宗教の正義を選択するなら、自分の直感に従うことが正しいことなので、直感に従い、自分の道徳的な感性によって選んだ選択の結果であるならばどちらであっても正解です。
ではもし、自分の娘1人だけを救った消防士のニュースをあなたが見たらそれは正しいことだと思えるでしょうか?
また、もしも死んでしまった30人の子供たちの中に自分の子供が含まれていたとしたら、この消防士を許すことができるでしょうか?
正義は、答えを出してはいけない
それぞれにとって正しい選択を行っているというのが現実です。
主義主張が違えば、正しさの基準も変わり、状況が変わればその主義主張すらも変わってしまう可能性があります。
だから画一的に1つのものを答えとしてはいけない。
それが本書の答えということになるでしょう。
そして、自分が思っている正義が唯一無二ではないということを自覚し、他者を批判せず、まずは受け入れてみることが重要なのではないでしょうか?
自分の中にある正義とは何なのか…
思考を整理する意味で少しボリューミーですが読んで損は無い1冊だと思います。
ただ最後にストーリーのオチは個人的に残念。
ネタバレしますので一番下に書きますが、これも描く人の自由ということでしょうか…
5.気になるワード
この問いかけに意味は無い。なぜなら、この問いは、はるか古代から人類が問い掛けてきた歴史的なものであり、僕が考えたところで何の答えも出ない。
でも、年齢を重ねるにつれて、その正義は次第に通じなくなっていく。
平等、自由、宗教
不自由=人間の自由は生きる権利を奪う行為
反宗教=宗教又は伝統的な価値観を破壊する行為
自由の正義を実現するには→自由主義(自由を重視せよ!)
宗教の正義を実現するには→直感主義(道徳を重視せよ!)
(自由主義は)他人の自由を奪わない限り何をしてもいい
なぜなら、我々はみな、正しさを求める存在であり、何らかの正しさを基準にしなければ考えることも生きることもできない存在であるからだ。
①そもそも幸福度を客観的に計算できるのかと言う問題
②身体的な快楽が、本当に幸福だと言えるのかと言う問題
③功利主義は強権的になりがちと言うパターナリズムの問題
①功利主義から導き出される結論が、僕たちの感性と全く違ったものになる可能性があると言うこと。
②その感性に合わないことが正義の名のもとに強制的に押し付けられてしまう可能性があること
リベラリズム=弱い自由主義
リバタリアニズム=強い自由主義
自由主義→個人の権利を重視→個人に強制しない
①富の再分配の停止による格差の拡大、弱者の排除
②自己責任、個人主義の大河によるモラルの低下
③当人同士の合意による非道徳行為の増加
人間は、完全な正義を直感できないし、資料もない。
では、どうすれば良いのか?
6.商品の紹介
7.※※ネタバレ※※
主人公とヒロイン3人の恋の行方は!?
思春期の4人がいて恋をしないはずがない!?
振り回される主人公、最後に選んだのは…
なんと、先生だった!
同性愛に問題があるわけでは無いですが、最後は裸になって終わっていくと言う結末。良し悪しでは無いですが、若干、人に勧めにくい。そう思ってしまったのはきっと僕だけではないでしょう…
まぁ、人に勧めるということが、誰にとっても正義ではないのですから、これも自由の正義なのかもしれませんね。