書評

insight(インサイト)―いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力

1.今日の一言と紹介する本

今読んでる本にこんな寓話がありとても考えさせられました。

おたまじゃくしが池を泳いでいる。すると突然、隣にカエルが現れる。

おたまじゃくし:『どこから来たの?』
カエル:『乾燥したところからさ。』
おたまじゃくし:『乾燥って何?』
カエル:『水がないってことさ』
おたまじゃくし:『水って何?』

カエルは言葉を失う。大きな身振りとおたまじゃくしの周りに満ちた物質を示しながら、カエルはたずねる。

カエル:『水が何かって?もしかして…君には見えてないの?』
おたまじゃくし:『うん』
カエル:『でもさ、どうして見えないんだ?いつも周りにあるじゃないか!』
おたまじゃくしには自分の周りにある水を認識することができていません。

当たり前のようにあるものが見過ごされてしまっている、そんな現実が世の中にはたくさんあるかもしれません。

自分にとって本当に大事なものは何か?

それをインサイトといいます。

今日は自己認識と、自分にとって本当に大事なもの、インサイトを扱った『insight(インサイト)―いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力』をご紹介していきます。

2.本のサマリー

自己認識は、21世紀のメタスキルだ。そうメッセージをする本書。
著者ターシャ・ユーリックは組織心理学者、研究者、NYタイムズベストセラー作家の1人。
企業のCEOやアーリーステージの起業家を含め、何千人ものリーダーや社員たちの自己認識を向上させ、成功へ至る支援をしてきた方です。

本書のテーマとなる自己認識とインサイト。

人は自分が思っているほどに自分のことをよくわかっていないと言う現実がありますが、今の自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力について本書では紹介をしています。

自己認識には大きく2つの種類があります。
①内的自己認識
②外的自己認識

シンプルに言ってしまえば、たったこの2つですが、本当は自分は何が大事なのかということを整理できている人は少なくないでしょう。

そして、他の人から自分がどう見えているかということを認識できている人も多くないかもしれません。

自己認識の重要さ、そして自己認識を深めインサイト(重要な気づき)を得るためにどのようにすればよいかと言うことをまとめた一冊になっています。

3.ポイント3点

リーダーがオーセンティック(本物)である時、メンバーたちは正直に語っても大丈夫だと感じるだけでなく、そうすることが期待されていると感じる。

人がヒントを得るのは、自分が見たものや気づいたことからであって、人に言われたことからではない

あの子はいじめっ子よ。意地が悪いし、ひどいことをするし、あなたはどれだけ傷つけてきたかは分かっている。でもね、あなたは1度でも、こいつから学ぶ事はないかって考えた事はある?

4.岡崎の考察

最近世の中に多く出回っているビジネス書はライトビジネス書と言われる読みやすくわかりやすいものが多いです。
このインサイトという本は全くそのカテゴリには当てはまりません。
おそらく専門書という領域に当てはまるかなり難しい本でした。

インサイトとは何か?

噛み砕いた日本語でお伝えするなら、『気づきや本当に大事なこと』です。

このインサイトに気づくと人の行動は大きく変わります。

例えば音楽イベントがやりたい、と言う人がいます。
ただ音楽イベントをやりたいで終わらせても問題は無いですが、もう一つ高いステージでものを考えるとこうなります。

なぜ音楽イベントがやりたいのか?
音楽を通してみんなに元気になって欲しいから。
みんなに元気になってもらうということが重要なこと(インサイト)であるなら、他にもっとできる事は何だろうか?
まずいきなり音楽イベントを立ち上げるのではなく、毎日を自分が笑顔で過ごし、近くの人たちを笑顔にしていく。
そのことを通してイベントの集客をしていき、いつかライブハウスを自分で持つ。と、いった具合です。

ただ音楽イベントだけでとどまらず、みんなを元気にしたいと考えるなら今やれることも、本当にやりたいことも変わってくるかもしれませんね。
自分にとって本当に大事なことを知る必要を感じている方はぜひ読んでみてください。

5.気になるワード

自己認識とは、要するに、自分自身のことを明確に理解する力。自分とは何者であり、他人からどう見られ、いかに世界へ適合しているかを理解する能力だ。
自分自身を知る能力は、人間の生存や進歩の核だと論じる者さえいる。
私たちは他人の認識不足はすぐ責めるが、自分に認識が欠けているか自問する事は極めて稀である。
人が自身のパフォーマンスや能力に対してひどく間違った判断を下しがちだと言うことを示している。
何が1番恐ろしいかって?
最も能力のない人々が、自分の能力に最も自信を持っている場合が多いと言うことだ。
内的自己認識は、自分自身を明確に理解する力のことを指す。それは自分の価値観、情熱、野望、理想とする環境、行動や思考のパターン、リアクション、そして他者への影響に対する内的な理解のこと
外的自己認識は、外の視点から自分を理解すること、つまり周りが自分をどう見ているかを知る力
本書は、自分を知らない状態から一歩抜け出し、自分に対するインサイトを得て、より賢明な選択をし、より強固な関係をはぐくみ、そしてより良い人生にしたいと願うすべての人に向けた本だ。
組織心理学者として仕事をする中で、1つ自明の真理であるのは、自分のことを明確に理解している人の方が、仕事でも成功を収め、より良い暮らしを送っていると言うことだ。
自己認識とは、自分自身と、他人からどう見られているかを理解しようとする意志とスキルのことだ。
自分がヒットする場所、自分が幸せで存分に力を尽くせる環境を見つけた時、人は以前よりも少ない労力で多くを達成できるようになり、良い時間を過ごしたと言う気分で1日を終えることになる。
他人のミスや欠点を見つけるのは、自分のミスや欠点と向き合うよりも簡単で、しかもはるかに楽しいのである
感情の盲点で1番危険なのは、重要な事柄であっても、気づきさえしないまま感情に影響されて決断を下すことが多いと言う点だ。
最高で特別な自分になるよりも、最高で特別だと思い込む方がはるかに簡単だ
自分の欠点を見ないでいると失敗につながる
絶え間なく挑戦を続けてきて気力を養う必要がある時や、粘り強く続ければ成功できる場合は、フィールグッド効果が役に立つ。
自分に集中しすぎると、周りが見えなくなるだけでなく、逆説的に本当の自分を見つめる力も損なわれる
間違いなく、謙虚な人々の方が客観的に見ても成功している理由の1つは、周りに焦点を置く人の方が周りからの好意や敬意を得られるからだ。
自己重要は、自分についての客観的事実を理解し、その自分を好きになろうと決めることだ。
自分について考えるという行為は、自分について知ることに何の関係もない
内相が自己認識を生むという前提は迷信だ
内相の問題は、その行為自体に効果がないのではなく、多くの人が全く間違った形で実践していると言うことだ。
大切なのは、人がなぜと問うとき、つまり、自分の思考、感情、行動の原因を検証する時、1番簡単でもっともらしい答えを探してしまうものだと言う点だ。
内的事項認識においては、なぜではなく何と言うシンプルなツールが、大きな効果をもたらしている。
なぜから何への変化は、被害者意識から成長への変化だ
大抵周りは、こちらのミスについてこちらが思っているほど気にしていない
うまく学ぶ子供たちは、自らの失敗に対して全く違った反応をした。そもそも、その子供たちは失敗を失敗だと考えていなかった。
うまく学ぶと言うマインドセット、つまり、パフォーマンスではなく学びに焦点を合わせる事は、優れた反芻撃退策になるだけでなく、大人も仕事のパフォーマンスを向上できることがわかっている。
うまくやるのマインドセットに比べて、うまく学ぶのマインドセットの人たちの方が四半期の営業成績がはるかによかった。
人は何もしないより、何かする方を好む。たとえその何かが、不快なことや、かなり苦痛を伴うものであってもだ
良いことも悪いことも、複数の角度から見る事は、インサイドと成功を最大化する助けになる
意識的に自分に問いかけてみよう。今日は何がうまくいった?何がうまくいかなかった?何を学び、明日からどのように賢くなれる?
時々一歩ひいて、もっと広い視野で見るのはとても良いことなんだ。
解決策に焦点を当てる事は、何よりも早く目標にたどり着く手助けとなるだけでなく、考え込むことを抑えて理解を増すと言う驚きの効果がある
目標を、自分がどう学び成長するかという観点から表現した時、全く新しいレベルのインサイトと達成の道が開ける
フィードバックはギフトだ
基本的に、あなたの事はあなたより他人の方が客観的に見ている
自己認識とは、唯一の真実があるものではない。自己認識は、自分についての自分の見解と他人の見解が複雑に織り混ざったものだ。
人は望ましくないメッセージについて沈黙を保つ
私たちの社会は他人が自分のことをどう思っているかを知りすぎないように作られている
人はどうしても、厳然たる真実を告げるより、優しい嘘をつきたくなる。
周りがなかなか真実を言ってくれないことが外的自己認識における最初の障害だとすれば、第二の障害はこちらもなかなか聞こうとしないことだ。
インサイトを得るには、自分の意見と同じように、他人の意見も重要だ
批判的なフィードバックを求めた方が、社会的にも職業的にも見返りがある
愛のない批判者と無批判な愛熱者にフィードバックを求めるべきでないなら、誰に求めればいいのだろう?答えは愛のある批判者だ。
フィードバックを受け止め、向き合い、そして行動に移す
自分を変える代わりに、認識を変える
自己肯定は恐ろしいフィードバックを受け取る前に行うのが1番効果的である
集団的インサイトの5つの基礎
①目的
②進捗
③プロセス
④前提
⑤個々人の貢献
リーダーがチームに自己認識をもたらすには、3つの要素が必要になる。
①チームに手本を示すリーダー
②真実を告げるにあたって心理的な安全性
③継続的な取り組
チームがどこまで遠くに進めるかは、間違いなくリーダーの自己認識のレベルにかかっている。
人間には信用ならない相手を察知する優れた力がある事はご存知だろう。リーダーが本物でないと感じる場合、それは離れていても嗅ぎ取ることができる。
リーダーが自分の欠点へ献身的に向き合うと同時に改善しようと努力していたら、チームも同じような行動をしようと動機付けされる。
リーダーがオーセンティックである時、メンバーたちは正直に語っても大丈夫だと感じるだけでなく、そうすることが期待されていると感じる。
心理的安全性
何でも許すと言う事でも、ひたすらポジティブなふりをすることでもなく、声を上げたものに対して恥をかかせたり、排除したり、罰したりしないと言う信頼感のこと

6.商品の紹介