書評

「なぜか売れる」の公式

1.今日の一言と本のサマリー

問題です。
どこかにありそうな焼鳥店。ある街に、新規開業した焼鳥店がありました。オーナーは、かつて中堅商社でアパレルを担当していた人物です。 オープン当初こそ来客は多かったものの、その後売り上げは低迷、赤字が続きました。

その店の近くには、フレンチ・レストランのシェフから転身した店主が営む居酒屋があり、お洒落な店構えと斬新なメニュー構成で人気を博しています。それを見た焼鳥店のオーナーは、「飲食店は女性を呼ばなくては」 と考え、店をカフェ風に改装し、メニューにも流行のスイーツを取り入れました。

改装後、女性客や若いカップル客が増えました。しかし、数週間後には来客が激減し、挽回不能なほどの赤字を計上するようになりました。結局、その焼鳥店は潰れてしまいました。なぜこの焼き鳥店は潰れてしまったのでしょうか?

売ることは商売で1番大事な行為。どのようにすればうまく売れるのか。『「なぜか売れる」の公式』ヒット商品、流行るお店の共通する仕掛けについて解説した一冊。ご紹介していきます。

2.ポイント3点

マーケティングとは、自然に売れる仕組みを作ることです。そのためには、いかに顧客と良好な関係を持続的に保っていくか、ということが重要になってきます。

何でもできますと言った瞬間に、顧客は何もできないんだなと思います。ビジネスにおいては、何にでも手を出すを目指すと、むしろ自分の強みが明確にできなくなって、失敗する確率が高まります。

マーケティング活動を始めるにあたっては、①何を、②誰に、③どうやって、の順で考えるため、①なにを、がすべての活動の起点、出発点となります。

3.岡崎の考察

冒頭の問題ですが答えはシンプルです。焼き鳥がうまくなかったから。

しかしそんなことにも気づけず、過ちを犯してしまう事は多々あります。僕も飲食店を経営してましたからよくわかりますが、経営者の好みで食事を出すと失敗します。お客様がおいしいと思うものを出さなければなりません。
意外と飲食店オーナーって味音痴が多いんです(笑)

では実際にどうすれば売れるのか。いくつかの事例をご紹介していきます。
①ストーリーを売る
多くの場合機能を売ってしまいます。このお酒は、日本酒が何度とか、うちは純米酒しか作りませんとか、周りが真似しやすい部分をプッシュしてしまいがち。ではどのようにすれば良いのか。

例えば次のように売られていたらどうでしょうか?
創業100年以上の造酒屋のもので、原料は、日本の棚田100選にも選ばれている棚田で作られたお米なんですよ。棚田100選に選ばれている棚田のお米。情景が浮かび、興味をそそられます。
つまり背景にあるストーリーが、さらに美味しく感じさせられ、手に取りたくなるわけです。お酒の機能を売るのではなく、ストーリーを売りましょう。

②自社の持つ独自の強みから離れない
ビジネスが順調に伸びてきた場合でも、大企業の参入で競争が激しくなったり、不景気やデフレで値引き合戦に陥ったりと、取り巻く環境が変われば、自分も変わらざるをえません。ただし、そんな時でもビジネスチャンスを広げるためにと自社の持つ独自の強みから離れてはいけません。そこからぶれると、顧客を失いかねないのです。

例えば珈琲店。一杯1000円のコーヒーを売っていたところから、近くにいっぱい300円のコーヒー店ができたからといって値下げを採用してはいけないわけです。お客様は実は1000円のコーヒーと、そのお店の雰囲気を求めてきていたりします。300円のコーヒーに対抗しようとすると、自社の強みが失われ顧客を失うことにつながります。自分たちの強みが何であるかをよく理解してビジネスを展開しましょう。

③お金を出す人に売り込む
小学生から中学生に上がるタイミングで、自転車を購入する人が多いでしょう。では中学生向けに自転車を販売する場合、何を意識すれば良いのでしょうか。多くの人はどうすれば中学生が喜ぶかを考えます。しかしこれは間違ったマーケティングです。
この場合財布を出すのは母親。つまり母親が買いたいと思うものでなければなりません。何を買うかを決める人、お金を出す人、実際に使う人がそれぞれ違うといったケースはよくあります。
何を買うかを決める人にアプローチするのが適切な戦略ですが、しばしば私たちは、実際に使う人向けにプロモーションを行い失敗します。売り込む先を間違わないようにしましょう。

④差別化よりも、独自化を考える
顧客が本当に欲しいものを提供できているか?
顧客が想像していなかったもの、期待を超えるようなものをちゃんと世の中に出していますか?顧客の期待を超えるものを提供するために大事なのは違いです。しかし多くの人は違いというと、差別化を考えます。
差別化とは、他社よりも少しでも優れたものを出そうとすることです。大事な事は独自化です。独自化とは、他社がまだやっていないことを市場に出していくこと。自分たちしかやっていないものはないか、いつも探していくと良いでしょう。

⑤成果を上げている人の3つの共通点
1、行動に移すのが早い。
鉄は熱いうちに叩けと言いますが、熱いうちに行動しないと身に付きません。
2、とても素直
結果を出す人は、とにかく素直に聞いて、愚直に実践するもの。考えてばかりで行動しなければ何も生み出しません。
3、勉強熱心
仕事には終わりがありません。マーケティングの世界、経営の世界では、常に自分を改善していかないと、すぐに顧客に当てられてしまいます。自分が持っている課題に対して、ひたむきに情報を集める姿勢があり、改善し続けることが重要です。

マーケティングについて非常にわかりやすく書かれている一冊。お勧めです。

4.気になるワード

マーケティングとは、自然に売れる仕組みを作ること
究極のマーケティングとは、ダイレクトセリングをなくすこと
流行の売り方に飛びつくと、無駄ばかりになる
マーケティング活動を始めるにあたっては、①何を、②誰に、③どうやって、の順で考えるため、①なにを、がすべての活動の起点、出発点となります。
不審な会社や店の大半は、顧客価値が低かったり、ニーズが明確でない商品やサービスをろうとしています。
人間は7つ以上の選択肢があると途端に選べなくなる
人間は機能ではなく、価値にお金を払う
多くの会社は、ハイスペックにすれば、当然顧客に喜ばれるだろうという発想をして商品を開発し、失敗します。
スペックそのものを売りにすることを機能、使うことによって得られる効用を価値とあえて超大雑把に説明していきます。
自分の強みをしっかり把握して、顧客に喜んでもらえる価値になるまで、その強みを磨き上げていく
需要はあるけれども、これまでとは少し違う市場を目指す
IPhoneの生みの親であるスティーブ・ジョブズは、消費者は自分の欲しいもの何か知らないというスタンスを常に貫いていた
顧客の声を聞いても、売れる商品は生まれない
マーケティングにおいて、顧客の声を活かして従来の商品を改良していくことを、持続的イノベーション、従来の商品の価値を破壊するような、まったく新しい価値を生み出すことを破壊的イノベーションといいます。
価格の競争に突入すると、大量の仕入れ、生産によって単品のコスト低減が可能で、薄利多売でも利益を確保しやすい大きな資本を持つ大企業が有利になる
顧客は、商品を選ぶとき、ロジカルに考えてはいません
何でもできますと言った瞬間に、顧客は何もできないんだなと思います。
ビジネスにおいては、何にでも手を出すを目指すと、むしろ自分の強みが明確にできなくなって、失敗する確率が高まります。
よく言われますが、利得が目的となったビジネスは長続きしません
リピーターとファンを増やす。これが事業をする上で、最も大事なこと
優秀なマーケターは、ターゲットの顧客について監査する際には、必ずその顧客がいる現場に足を運びます
顧客は私たちが思っているほど、私たちの会社や商品のことを知らない
商品を買ってもらうには、まず顧客に認知してもらわなければなりません
良いお客様は値引きよりも、良いサービスを求める
基本的に新規顧客を集めるために配布する割引クーポンはNG
マーケティングとは、自然に売れる仕組みを作ることです。そのためには、いかに顧客と良好な関係を持続的に保っていくか、ということが重要になってきます。
常識で考えれば…という呪縛から離れることが、特に競合が強い場合は必要になってくる
差別化よりも、独自化を考える

5.商品の紹介