1.今日の一言と本のサマリー
社運をかけた重要なプレゼン、第一志望の会社の最終面接、絶対負けたくない試合…等々、人生では、ここ一番の勝負どころが何回もあります。
大事な場面で最高のパフォーマンスが出来るように、寝る間を惜しんで準備をしたり、厳しい練習を乗り越えたりした経験が、誰にでもあるのではないでしょうか。では、大事な場面で力を出し切り、質の高いパフォーマンスをするために大切なものは何でしょうか。
本日紹介する書籍の著者、東先生は、パフォーマンスの質を高めるために大切なのは、心の状態です。と、おっしゃいます。
オリンピック選手のスポーツメンタルコーチが教える、心の整え方。ご紹介していきます。
2.ポイント3点
未来にも過去にも引っ張られず、今を感じよう
人は誰しも変化し、成長する可能性を秘めています。その可能性に自らが蓋をしなければ、いつでも、何歳からでも自分を成長させることができるのです。
人と比較して人に勝つのではなく、過去の自分に勝ちましょう。昨日の自分より1ミリでも成長すれば1年間で相当成長します。小さな変化を積み重ねていくことが1番の近道かもしれません。
3.岡崎の考察
スポーツメンタルコーチという職業。実は最近のスポーツ選手は、メンタルコーチをつけることが多いと聞きます。この書籍の中でも実際のオリンピック選手との体験が出てきて面白かったです。
特に心に残ったエピソードをいくつかご紹介しましょう。
① 2016年ボルダリングで世界一となった楢崎選手とのエピソード
2016年世界一となるも、その後不調に。2020年東京オリンピックの出場をかけた試合で返り咲きます。その原因を次のように語っています。
「2018年の悔しさを経てメンタルコーチングに本腰を入れて自分と向き合う時間を増やしたことが、すごく大きかったと思います。自分のことをいろいろな角度から俯瞰して、客観的に見られるようになりました。そのおかげで、本番でミスをしても、そのことにとらわれなくなって、焦りや怒りや不安といった感情が起きにくくなったのです。要するに、終わった過去に振り回されないで、今に集中できるようになったんです。
心を整えるって、パフォーマンスを安定化させるために大事ですね。
②「強い心を持つべき」は誤解
心には強いも弱いもないといいます。あるのは、その時々の状態だけであり、大切な事は、その状態がパフォーマンスにとって良い状態なのか、悪い状態なのかだけ。自分は心が弱いという思い込みが考え方のベースにあると、自分自身を否定的に捉えざるをえなくなります。
自分に対してマイナス評価は、それだけで心を萎縮させてしまい、結果的に、そのことが本番で力を発揮できない一大要因となり得るそうです。自分は心が弱い、という思い込みはやめましょう。
③最高の心の状態
強い心、弱い心などというものはない。あるのは、心が良い状態か、悪い状態か、そのどちらかだけ。では理想的な心の状態とはどのようなものなのか?
何事にも揺さぶられない、フラットで、無心な状態です。スポーツの世界ではゾーン、無我の境地などと表現される極限の集中状態です。つまり、自分の持てる力を100%発揮するには、目の前の課題に集中して取り込むことが大切です。未来も、過去もなく人生には今しかありません。目の前の出来事に集中しましょう。
④無意識の脳の癖(意味付け)から自由になる
ここぞという時に結果を出すには、いつでも良い心の状態、つまりフラットな心の状態でいることが欠かせません。どんな大きなミスを犯したときでも、心をフラットな状態に戻す事は可能だといいます。
そのために大事なのが脳の癖。特に脳には、意味付けする癖があります。
例えば野球で、ノーアウト満塁の場面。多くのピッチャーは、「まずい、これはピンチだ」と思い焦ってしまうでしょう。
しかしこの、ピンチだという焦りは脳の癖付けに他なりません。まずいも、まずくないもなく、ただ満塁であるというだけです。余計な意味付けはせず目の前のやるべきことに集中するように意識しましょう。
⑤結果にとらわれない
では意味付けをしないために意識する事は何でしょうか。それが、結果にとらわれないということです。もちろん結果への強いこだわりを持つこと自体は悪いことではありません。しかし結果にのみとらわれてしまうと、心が揺さぶられます。
結果を出したい時こそ、結果だけにこだわってはいけない。結果自体ではなく、そこに至る過程を大切にして自分のベストを尽くそう、自分のプレーをしている姿を見てもらって誰かを勇気づけたい、育ててくれた親にプレーを通して感謝の気持ちを伝えたい、こんな思いを持って行動するようにしてください。
基本的ですが、とても大事なことがまとまっている一冊でした。メンタルについて学びたい方はぜひ手に取ってみてください。