書評

組織の毒薬 サイバーエージェント副社長の社員にあてたコラム

1.今日の一言と本のサマリー

以前、ある有名人の取材をさせてもらいました。

実は、ライターの仕事をしようと思って…収入というよりも、新しい人脈につながったり、自分の知識や経験につながることが楽しいなと思ってます。仕事って、自分の人生の枠組みを広げるためにあるんじゃないかなと。

さて、そんな取材をさせて頂いている方が勧めてくださった一冊、『組織の毒薬

サイバーエージェントの副社長、日高裕介先生。社内向けに書いていたコラムを、
サイバーエージェントの社長、藤田晋さんが、Twitterで、「これを本にしたらきっと売れるだろうな」とつぶやいたことがきっかけで書籍になっています。

ずば抜けた結果を出すには、毒をも飲み込まなければならない。サイバーエージェントの急成長を支えた副社長が考える、組織のあり方とは?

2.ポイント3点

憂鬱なことがないのは仕事じゃない。
仕事は七転八倒するもの。
そういう思いをして不可能を少しでも可能に近づける。

組織でしか出せない大きな成果をあげられるのは、めんどくさいを乗り越えてきた組織だけです。同じく、組織で成果を上げる個人も組織のめんどくさいに向き合って乗り越えてきた人たちです。

組織(リーダー)に必要なものはビジョンの提示とコミュニケーションです

3.岡崎の考察

私が毎月のコラムを書く目的の1つに、組織で働く人を勇気づけたいというものがあります。仕事はしんどいことが多いので、うまくいく前に心が折れてしまう人も多くいます。組織で働くとなると、なおのこと自分1人ではどうしようもないストレスとの戦いです。

組織で働くとはどういうことなのか?そのことについてはとても考えさせられる1冊でした。特にこの書籍の中で印象に残った3点をご紹介していきたいと思います。

①まず、やってみる!
学生さんからよくされる質問です。新規事業を始めるときに、とりあえずやってみる、というのはリスキーじゃないですか?と、言われることがあります。新規事業にかかわらず新しいことを始める際に事前に議論を尽くして、リスクを最小限にとどめたいと思うのは当たり前のことでしょう。しかし、知らないことを議論するのはどこまでいっても机上の空論。
例えば知恵の輪を解くとき。ガチャガチャ動かして当たりをつけながら外していきます。全く動かさないから、こっちをこの角度に5ミリ動かして、なんてやる人はいないでしょう。全く動かさないうちから、答えは出ていないのです。事業でも一緒。新しい事に出会ったら、まずやってみてあたりをつける、そして考察するのを繰り返していきましょう。

②恐縮は夢だ
新入社員に向けて書かれたコラムの中に、このように記載されていました。今でも新しいこと、大きな目標に向かうときは、没頭する癖がついているんで不安を感じる暇がありません。新人の皆さんに伝えたいのは、貯蓄をしている暇なんてないということです
自分の力のなさや自信のなさを感じた時、それを覆い隠すために恐縮する。それは誰でもあることですが、周りの人は気に留めていません。特に新人は仕事の力がないのは当たり前。不安を解消する唯一の方法は、1日も早く成果を出せる自分になること。そのためには、不安が頭を支配しないように、ただただ目の前の仕事に没頭していくことが大事でしょう。

③組織で働くとは
ビジネスの価値を考えたとき、1人ではできない大きなことを組織で成し遂げる事ができるのが仕事の尊さの1つ。しかし同時に人と一緒に働くという事は煩わしいことも多いものです。

組織とはなんとめんどくさいことだろう…その気持ち、よくわかります(笑)

自分1人の能力の範囲だけで仕事を完結できればどんなに楽なことでしょう。しかし組織でなければ作り出せない結果があるのも確かです。

組織のめんどくささも受け入れながら頑張る…それが大事なことではないでしょうか。読みやすいけれど、読み応えのある一冊。お勧めできる書籍だと思います。
組織で働く煩わしさを感じている方にオススメの内容でした。

4.気になるワード

人は言葉1つで変わります。
憂鬱なことがないのは仕事じゃない。
仕事は七転八倒するもの。そういう思いをして不可能を少しでも可能に近づける。七転八倒してこそ仕事
サイバーエージェントを設立してからはジェットコースターのような仕事人生になって、仕事が苦手などと言っている暇はなく、気づけば今に至っています。
目標設定するときは思いっきり高い目標を立てて、一生懸命その目標に向かって走って達成すること
ベンチャー企業なので、市場の成長性は自分たちで決めるもの。だからこそ、しんどいから、確実に取りに行ける範囲に投げるというような、低すぎる目標設定はNGですね。
周りに評価を求めすぎると、自分のもらいたい評価と本当の自分の実力ともにギャップが生まれ、ストレスになり、地に足がつかなくなります。
ビジネスはマラソンのようなもので、長期的な成長と結果が大事です。
なんとなく仕事がうまくいっていないと感じるときは、このままだと悪い結果が待っているサインかもしれず、なんとなくの状況に甘んじている可能性があります。
後輩や部下に仕事を頼むとき、どうやったら気持ちよく働いてもらえるかと悩む人がいますが、本来は気持ちよく働いてもらおうと思う必要はありません。なぜなら、ゴールに達成するために集まっているのが組織で、ゴールに向かってみんなで頑張ること自体が=気持ちよく働くことだからです。
仕事を依頼するときは本来厳しさも優しさも必要ありません。
チームでゴールや目標の共有ができているかどうか、そしてメンバーがゴールに対して当事者意識を持っていることが理想型です。
私はトラブルが起こったときは、基本的にマイナスは取り戻せないと思うようにしています。
目標が適切だったか?
忙しい時にした決断の方が精度が高いように思います
会社が大きくなり事業が大きくなると、小さなことを見落としがちです。
創業間もないベンチャー企業が、成長を急ぐために、あえて大きなことを言い、背伸びをして自分たちを大きく見せ、結果を出すしかない状態に自分たちを追い込む事は有効な手段です。
気合と思考停止は紙一重
この方法で本当に勝てるのか?とこの方法なら必ず勝てる!という矛盾を自分に問いかけて、考えては疑う、全力での思考と盲信を繰り返す、精神的にしんどい作業が必要になります
私の仕事は追い込むこと
数字だけの話に限らず、結局は夢と現実の中間位のものに落ち着くのですが、中間に落ち着くことが大事なことではない
仕事とは、そもそも理不尽なもの
一生懸命を超えて一生懸命やって、あるところに生まれて初めて仕事の面白さを知ることができた
今でも新しいこと、大きな目標に向かう時は、没頭する癖がついているので不安を感じる暇がありません。
最初は仕事の仕方よりも心構え
コミュニケーションで気をつけるのは、お客さん扱いをしないこと
熱狂には、巻き込まれましょう
一番大事なものは文化
物体と同じように、人にも組織にも感性が働きます
本意ではないむちゃぶりされた仕事は誰も見向きもしないような仕事を、苦しみながらやり遂げることで、得られるものがたくさんあります。
誰もやっていないような、どうがんばってもうまくいかないんじゃないか?とか、すごく大変なんじゃないか?と思う事は、周りから見たら無謀なことをやっているようでも、大きな成果を得られる可能性を秘めています。
大企業病的なコミュニケーションの背後には、他の人や組織に対する、勘違いや疑心暗鬼が潜んでいる
手っ取り早く成長を実感したいなら、他の会社に就職した大学の友人と会って仕事について話すことも1つの方法です
仕事がうまくいくには決断の正しさも重要ですが、決めた後の実行力、徹底力も同じように大事
失敗の責任は半分以上は人に任せた人のものです。
ビジネスの世界ではよくポジションが人を作ると言います。
どのようなポジションでどんな仕事をしたいかは、結局はその人の働く価値観次第
21世紀を代表するような会社を目指すのは1人ではできないので、自分のポジションの価値が大きくなる働き方をできるような組織になればと思います。
24時間働くよりも、自己否定しながら成長する方が大変だ
1人働いて成果を出す事は、仕事の中で理屈抜きに大事なことです。それによって仕事を早く覚え、自分なりのコツを掴んで成長は進んでいきます。
成果と評価は自分のタイミングでやってこない
なぜかチームに一体感がないときは、今更言うまでもないでしょう、と思えるほど基本的な組織の目標やルールの確認から始めてみると良い
自分の成功体験や既存の成功事例はあくまで参考程度位
世論の良くない点は、文字面だけ見ればツッコミどころがないので、自分も周りも含めて思考が停止することです。もっと言えば、世論は結果の責任をとってくれるわけではないにもかかわらず、世論に責任を取らせようとしている責任放棄ともいえます。
事業の具体的な3年後は考えていません
インターネット業界は変化が多く早いので、あまり先を考えてみたところで見誤ってしまう
10年後を予測したわけではなく、信じていた
定量的な目標と定性的な目標は、時々相反して見えることがありますが、先の長い大きな目標を目指す上では両方とも大事です。
ひらめきは修練から生まれる。仕事にはメンタルタフネスが重要。
仕事上のどんな決断をする時も、私たちが忘れてはならないのはビジネスという土俵に立っているという意識です
1点豪華主義的に目立っている人や、一瞬頑張った人だけを評価する機運がある組織の中にあると、間違った評価の基準が浸透してしまう
評価は他人がするもの
組織(リーダー)に必要なものはビジョンの提示とコミュニケーションです
気づかないうちに、なぜ今これをやらなければいけないのか知らないけれど、誰かが決めたからやっている子、仕事に対する主体性が薄れていきます
優秀な人を少数集めることではない、むしろ少数だから精鋭になる
自分の中の仕事に対するポジティブさを引き出すにはどうするかというと、そもそも自分がなぜ、この仕事をしているのか、なぜこの会社を選んだのか、を思い出すことです。
自分が働くヒントはそこにあります
組織でしか出せない大きな成果をあげられるのは、めんどくさいを乗り越えてきた組織だけです。同じく、組織で成果を上げる個人も組織のめんどくさいに向き合って乗り越えてきた人たちです。
組織で働き続ける人たちが仕事によって報われますように。
良い組織は毒が必要だ
上司が耳障りの良い事ばかり言ったり、社員を気持ちよく働かせることが目的になっている組織がゴールにたどり着くことがありません。
組織が強くあり続けるためには、耳が痛い率直な言葉をぶつけあったり、追い込まれるほどの高い目標設定という毒のような緊張をもたらす刺激が必要

5.商品の紹介