書評

ロジカル・シンキング練習帳

1.今日の一言と本のサマリー

ビジネスの場において求められる能力は多々ありますが、その中の1つに挙げられるのがロジカルシンキングでしょう。

時間のロスを減らしたり、仕事の進捗を早めたり、コミュニケーションを円滑に行えるようにする。ロジカルシンキングができている人と、できていない人では仕事の成果が全く変わってきます。

そこで今日ご紹介するのは『ロジカル・シンキング練習帳

ビジネスメールをベースに、ロジカルシンキングの考え方、文章での表現の仕方などを学ぶことができます。論理的な考え方や生き方の基本とは?

2.ポイント3点

ロジカル・コミュニケーションとはわかりやすく論理的に、しかも速く、感じよくメッセージを伝えて、仕事を前進させること

基本の型を作るための4つの技術
①伝える前の準備の技術
②思考を整理・構成する技術
③構成を視覚化して表現する技術
④日本語表現を好感度も含めて整える技術

伝わらないメールの典型的な3つのパターン
①目的がつかめない
②情報が羅列されている
③必要な情報がない

3.岡崎の考察

この書籍のすばらしいところは、日常にありがちなメール、文章を例題に、具体的な改善案まで導かれているところでしょう。非常に実用的です。

そこで今日は、その中から1つ例題を抜き出してご紹介する形で書評としたいと思います。次のメールの問題点を考えてみてください。

 

件名:業務改善プロジェクトについて
佐和マネージャー
出張、お疲れさまです。
業務改善プロジェクトの開始時期の件ですが、本日、室町部長とプロジェクト事務局とで検討しました。検討の結果、プロジェクトのスタート時期は、上期決算後の10月のほうが、関連部署へのヒアリングに協力を得やすく、活動を進めやすいだろう、ということになりました。また、営業本部と生産本部で、プロジェクト参加メンバーの選定に時間を要しており、10月開始のほうが無理がない、ということになりました。
そこで、プロジェクトは、開始時期を前倒しせずに、当初の予定どおり10月に開始にしよう、ということになりました。
以上です。

川角

 

読み込まないと、何言ってるかよくわからないですよね。まず大切な事は、テーマを分かりやすく伝えること。特にメールの場合は件名を工夫すると良いでしょう。

このようにしたらいかがでしょうか?

件名:業務改善プロジェクトの開始時期のご報告

報告であることが、明確に伝わります。次に本文ですが、結論(報告したい項目)、理由(その結論に至った経緯)の2つに分けて文章を構成してみます。

佐和マネージャー
出張、お疲れ様です。
早速ですが、業務改善プロジェクトの開始時期について、室町部長と事務局とで検討した結果をご報告します。ご確認をお願いします。

◆結論
今回のプロジェクトは当初の予定通り、10月開始とする。
前倒しはしません。

◆理由
・プロジェクト活動上、上期決算後の10月開始の方が、ヒアリングに社内関連部署の協力を得やすい。
・推進体制の面でも、営業本部、生産本部でプロジェクト参加者の選定に時間を要している。このため、10月開始のほうが無理がない。
以上です。気をつけてお帰り下さい。
川角

これなら一目瞭然。非常にわかりやすい文章だと思います。ロジカルシンキングはもちろん、わかりやすく情報を伝える力や、情報を整理する力を身につけたい方におすすめの一冊でした。

4.気になるワード

ロジカル・コミュニケーションとはわかりやすく論理的に、しかも速く、感じよくメッセージを伝えて、仕事を前進させること
基本の型を作るための4つの技術
①伝える前の準備の技術
②思考を整理・構成する技術
③構成を視覚化して表現する技術
④日本語表現を好感度も含めて整える技術
大事な3つの要素
①目的思考
②スピード思考
③高感度
ビジネスのコミュニケーションは、メール、文章、口頭説明などの形式を問わず、仕事を前に進めるために行うもの
ビジネスではスピードが求められます
伝わるメールの大前提。導入部→本論→結び
伝わるメッセージにするための5つのチェックポイント
【導入部】
①テーマは明示されているか?
②期待する反応は明示されているか?
【本論】
③グループ化が見ただけでわかるか?
④グループごとに要点が書いてあるか?
【全体】
⑤具体的、簡潔さ、論理的、好感度
グループ化を見えるようにすることで、読み手は説明の全体観や構成をパッと見て把握できます。中身が速く伝われば、目的を達成しやすくなります。
具体性:内容が相手にも明快に伝わるか?
簡潔さ:立ち止まらずにサクサクと読めるか?
論理性:記述間の関係性を正確に表しているか?
好感度:違和感なく、高感度の持てる言葉遣いか?
伝わる人は目的志向、伝わらない人は伝達志向。
伝えることが目的になっているのは、いわば伝達志向です。
スピード志向は相手の時間も考える
どうすれば相手に速く正確に理解してもらえるか。どうすれば相手に速くスムーズに決断してもらえるか。どうすれば無駄な時間を費やさずにアクションを起こしてもらえるか。そのためには伝えての自分はどんな工夫をすればいいか。
言い換えれば、いかに相手に時間のロスをさせないか
確認・判断・行動 – どれを引き出したいかを明確にする
期待する反応と構成上の留意点
確認→簡明な構成。
判断→結論だけでなく理由も明示。
行動→理由とともに、必要とならば方法論も明示。
伝わらないメールの典型的な3つのパターン
①目的がつかめない
②情報が羅列されている
③必要な情報がない
読み手も自分も時間をロスすることなく、読み手に期待する反応を取ってもらうためには、書く前の準備は不可欠です。
①テーマは何か?
②期待する反応は何か?
ビジネスメールの導入部に入れておくと良い要素があいさつです。
結論と理由・解説に分ける
MECE(ミッシー)は、答えの要素の過不足を確認したり、グループ化したりするために使う考え方です。
ものごとの全体を、重なりなく、漏れもない関係で捉えるという考え方です。
結びにも相手への配慮や感謝の意味が伝わる挨拶を、その場面に合ったものを選んで入れましょう。
挨拶に始まり、挨拶が終わるのはビジネスメールの基本です
結びについて覚えておきたいのは、メッセージの目的をおさらいするという役割です。
メールをぱっと見た瞬間に、全部くまなく読まなくても、こことここに重要な情報があるとわかることが大事
丁寧に書こうとするあまり、つい使いすぎてしまうのが、いただく、という表現です。
〜しますという文末の表現を敬度の高い順に並べると、申し上げます>いたします>します、となります。

5.商品の紹介