書評

危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来

1.今日の一言と本のサマリー

コロナショックにより株価暴落。世界同時不況という状態にありましたが、今後の世の中はどうなっていくのでしょうか?

都市部では住めなくなるとか、川の近くで住みなさいとか、金や銀などを買いなさいとか、いろんな意見が出ていましたね。何が正しいのか分かりませんが、1つの情報源に偏らず、様々な角度で情報を取り、自分なりに分析をしておく事は大事でしょう。

そこで今日ご紹介するのは、伝説の投資家と呼ばれ、冒険投資家としても有名なジムロジャーズの『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来

ジムロジャーズ曰く、2019年から、2008年のリーマンショックをはるかに超える日が迫っていると警告してきたといいます。

新型コロナウィルスはあくまできっかけに過ぎない。この経済危機を、伝説の投資家はどのように見るのか。経済とマネーの未来とは?

2.ポイント3点

危機の時こそ、辛抱強さが問われる。ぜひ覚えておいてほしい。最も重要な言葉は忍耐だと。

世間で常識とされていることを疑ってみたほうがいい。自分の頭で考えないと、見えない真実がある。

衰退する国は、たいてい同じような道筋をたどる。国民が怠け者になり、身の丈に合わない額のお金を借り、働きたがらないようになる。

3.岡崎の考察

ジムロジャーズの主張はこうです。新型コロナウィルスの感染拡大に限らず、世界を驚かせるような危機は突然起きるものだ。そしてグローバルな社会や経済を見させる。歴史を振り返ると、10から15年ごとに、大きな変化が常に起きている。

つまり今回新型コロナウィルスの影響で経済危機が訪れているのではなく、たとえ新型コロナウイルスがおこらなかったとしても世界的な経済危機は訪れていたという見方をしています。

さらにアメリカと中国が貿易戦争状態に入った際に、次のような可能性を示唆しています。

歴史を振り返ると、貿易戦争に勝った国は無い。貿易戦争は常にすべての人々に災害をもたらしてきた。経済対立はしばしば実弾を撃ち合う本物の戦争に発展する。ランプ大統領は戦争が好きだ。彼は世界を戦争に巻き込む可能性がある。

なかなか怖い話です…あくまで最悪なシナリオの1つなのでしょうが、こうならないことを切に願います。

しかし同時にピンチはチャンスでもあります。本書では第4章に、お金持ちになるために大事なことを紹介しています。

①手っ取り早く設けようと思ってはいけない。
成功できないのは、簡単に儲かる方法ばかり探しているからだといいます。実際に調べてから投資していれば、成功する確率は高い。しかし多くの人はすぐに、簡単に、儲けられるうまい話を探してしまいます。自分がよくわからないものに手を出してしまうことはせず、ちゃんと調べて投資を行うようにしましょう。

②バランスシート読もう
良い投資家になりたければ、バランスシートを読むことが必要です。ただし1年分の損益計算書だけを読んだとしても、過去と比較して現在と将来を見通す必要があるので、それだけでは十分でないといいます。まずは自社のバランスシートを見るところから始めてみてはいかがでしょうか?

③株式インデックスへの投資
多くの研究成果では、ほとんどのプロの投資家の投資パフォーマンスは、株価平均より良くないということを示しています。つまり、はっきりってしまえばプロといってもあてにならないということ。自分で真剣に考えて投資する時間がなければ、株式インデックスつまり平均株価に連動する投資の仕方をした方が良いでしょう。

④孔子やプラトンに学ぶ
彼らの教えは、時を超えて生き続けています。だから彼らが言ったことには何らかの真実があると考えて良いでしょう。彼らの言葉からは、試練を堪えるために役立つ何かが見つかるはず。

(例)
立ち止まらなければ、あなたはどんなにゆっくり進んでも問題ない。
どこに行っても、心を尽くして行動しなさい。
我々の1番の栄光は、失敗しないことにあるのではなく、失敗するたびに立ち上がる力にある。

人間は逆境において、その真価を試される。

⑤ 40失敗しても、3つ成功すればいい
ジムロジャーズはたくさんの失敗を犯してきた一方でいくつかの成功を収めてきたといいます。

失敗も多かったが、成功は非常に大きいものに。損失を減らして、成功を収めよ。

投資の世界の格言です。失敗を恐れるのではなく失敗の損失を小さくする努力をする。そこで学んだことを生かし、次の成功につなげていく。日本は失敗させたがらない文化があります。しかし失敗を避けるような考え方では今後の成長は見込めないでしょう。

⑥お金を正しく扱う
お金についての最良のアドバイスは、お金を使うことよりも、節約することを重視すべきということに尽きるといいます。特に変化の大きい今の時代。お金をどう使うかばかり考えるではなく、ちゃんと節約を考える必要があるでしょう。

この方が世界情勢を詳しく解説し、各国の状況について解説している本書。投資に興味がある方もない方も、世の中の動向について興味を持つ必要があるでしょう。かなり、お堅い、書籍ですがお勧めできる1冊でした。

4.気になるワード

経済危機が来ること自体は、以前から見えていた
今回の危機が、過去とは違うというような事は決してない。歴史は繰り返すからだ。
株価があまりに長期にわたって上がりすぎたら、やがて下がるのは必然だ。
過去にも危機が起こるたびに、同じようなことが起きている。今回は違うなどと言っている人間がいたら、何もわかっていないだけだ。
現在の状況は、1939年に始まった第二次世界大戦の直前と似ているという指摘もある。
バブルは常に弾ける。とりわけ問題なのが低金利だ。トランプ大統領が米国の中央銀行に圧力をかけていることを背景に、低金利が続いている。この結果、金利が相対的に高い債権にマネーが向かい、債券バブルと言える状況が起きていた。
世界を作った中国も借金漬け
インドには、赤字続きで本来なら倒産すべきなのに生き残っているゾンビ企業が多数存在する。
倒産すべき企業が生き残ると経済には悪影響を与える。
危機が起きる前に身近なところでは、どのような変化が起きるのか。例えば、これまで予約が取れなかったような高級レストランが、急に予約できるようになる。
歴史上、世界でマイナスの金利はなかった。さらに米などの貿易戦争も世界経済に暗い影を投げかけている。
歴史を振り返ると、貿易戦争に勝った国は無い。貿易戦争は常にすべての人々に災害をもたらしてきた。
経済対立はしばしば実弾を撃ち合う本物の戦争に発展する。トランプ大統領は戦争が好きだ。彼は世界を戦争に巻き込む可能性がある。
政治家は戦争することで国民の注意をそらすことができる。政府は常に嘘をつくもので、安易に信じてはならない。ここから得られる教訓は、1つの情報源だけに耳を傾けてはいけないということだ。
世界の全ての人は広島に訪れるべき
多くの人は歴史を学んでおらず、戦争がどれほど悪いことなのか知らない。だからこそ世界のすべての政治家は広島や長崎が訪れて、戦争はどれほど恐ろしい日を学ばなければならない。
ブロック経済が進むと経済は減少し、経済が縮小する。(※ブロック経済とは、それぞれの海外植民地を中心とする経済圏)
経済が悪くなって、生活が苦しくなった人々は、いつの時代も怒りのはけ口を求める
良いシステムは、誰かが失敗したときに賢い人々がやってきて、ダメになった企業を立て直すような仕組みになっている。
日本は自分たちのやり方で物事を進める。その結果、借金が増え続け、出生率は低くなっている。
今の日本は素晴らしい国のように思える。だが、あなたの子供にとって、未来の日本はきっと素晴らしい国でなくなるだろう。
危機の時こそ、辛抱強さが問われる。ぜひ覚えておいてほしい。最も重要な言葉は忍耐だと。
世界には、成功していない人がたくさんいる一方で、成功している人は決してあきらめない人だ。
戦後の日本は焼け野原から復活した。国民が勤勉だったからだ。
日本人は1950年代に、商品は価格ではなく品質で売らなければならないことを知った。
すべての常識は15年で劇的に変わる
絶望が深ければ深いほど、次に来る幸福は大きいことだろう。
他人に頼る事は、あなたを完全に無能な人間にしてしまう。だから自分の頭で考えて、自分がよく知っている分野に投資する必要がある。
みんなが失敗している時こそ、チャンスがある。
誰もが悲観的になって、もうダメだと言っているときに、チャンスを見つけて投資しておけば、回復したときに得られるリターンは大きい。だからこそ、自分自身がよく知っている分野に投資するというルールを守るべきだ。
危機の際に持っておくべき資産
危機が起きると人々はこう考える。米ドルは安全な避難場所だと。問題が発生すると、人々は安全な避難場所を探す。彼らは米ドルが安全な投資先だとまず考える。だからこそ、米ドルは危機が起きると高くなる。危機がどれほど酷いのかに応じて、米ドルは高値になり、過大評価されるだろう。
危機の際はビジネスを多角化してはならない。
特に困難な時期は、自分が知っている事にフォーカスし、自社の借金を減らし、多くの借金を抱えている企業と取引しないように気をつけるべきだ。
常識に反するアイデアを人は信じない
人間は常識に囚われ、多数の人が言っていることが正しいと思い込みがちだ。他人の意見に惑わされず、自分の頭で物事を考えるのは簡単ではない。だから私は自分の子供たちに行を教えている。お前たちは、他人に依存せず、自分の頭で考えなければならないと。
世間で常識とされていることを疑ってみたほうがいい。自分の頭で考えないと、見えない真実がある。
私は世界を見ており、日本が再び私の投資リストに載っている。
値上がりが続いていたら、私はもちろん買わない。しかし価格が下落したら、間違いなく私は投資を検討する。今はそのような局面が来ている。
他の人が絶望し、何でも手放そうとするときに、うまくいきそうな対象を見つけて投資する。これは基本的な原則だ。
間違いをそのままにすべきでない。お金持ちになるために大事なこと。手っ取り早く儲けようとしてはいけない。成功できないのは、簡単に儲かる方法ばかり探しているからだ。
人生においてたった20回しか投資できないなら、あなたは必死になって調べてから投資するので、成功する確率は高いだろう。
人は追い詰められると、投資すべきではない時に、海に飛び込むようにしてむやみにお金を投資してしまう。
既に設けられる話をみんなが聞きたがるところに落とし穴がある。誰もが自分で研究するよりも、うまい儲け話を探している。そして自分がよくわからないものに手を出す。自分が知っているものにだけ投資するというルールを守るべきだ。
良い投資家になるためにはバランスシートを読もう
1年分の損益計算書だけを読んだとしても、過去と比較して現在と将来を見通す必要があるため、それだけでは十分ではない。
多くの研究成果は、ほとんどのプロの投資家の投資パフォーマンスが、株価平均よりも良くないことを示している。
株式の場合、株価平均に連動する株式インデックスに投資した方が良い
ほとんどの投資家は個別銘柄に投資するよりも、株式インデックスを購入する方が良い。そうすれば、個別株の上昇や下落にやきもきすることなく、バーをはしごしたり、サッカーや野球を観戦したりすることができる。
永遠に続くものには、おそらく何らかの心理がある。
立ち止まらなければ、あなたはどんなゆっくり進んでも問題ではない。
考えのない学びは、無駄である。学ばずに考えてばかりでは、危険である。
どれだけ知識を身に付けたとしても、全知全能になることができないが、勉強しない人々とは天と地ほどの開きができる
失敗も多かったが、成功は非常に大きいものだった。40の失敗を犯して、3つの成功を収めたと言っていい
投資の世界には、損失を減らして、成功を収めよという格言がある。
日本という国は人々を失敗させたがらない。
私が注目していることの1つは、政府がこのような問題がある。この問題を解決したいというのを知った時だ。
自分がそうあって欲しいと願うもの、希望するものに投資するのは難しい。だから願望に投資しないで欲しい。希望よりも、現実に対して、投資する必要がある。それこそが、あなたが成功する道だ。
お金を正しく扱えないと人生を破滅する。お金についての最良のアドバイスは、お金を使うことよりも、節約することを重視すべきということに尽きる。
私は自由を望み、実際にお金を稼げるようになって、それを手に入れた。自由の一部は冒険でもある。
お金持ちが不幸になる理由。お金持ちになった人々の多くは、残念なお金の使い方をする。お金を求めて、多くの人が愚かなことをする。お金を儲けるために、嘘をついて働く人は、ほとんどの場合、ひどく苦しんで刑務所に行くか、さらに悪いことになる。
私の考えはとてもシンプルだ。誰もが自分自身でお金をどう使うかを決めなければならない。困ったことになりたくなかったら、あなたが持っている以上のお金を使おうとして、借金しないほうがいい。
大事なのは、1つの情報源から歴史を読みとこうとしないことだ。
全てが変化している中でも、変えてはならない非常に重要なルールがある。あなたは正直であるべきだ。
あなたが誰かに何かをするつもりだと約束したなら、あなたはそれを実行すべきだ。
失敗は多くのことを教えてくれる。
あなたが何かについて十分なリサーチを得ている場合、今何が起こっているのかを理解できれば、幸運をつかめるはずだ。
競争が少なければ、成功できる確率は高い。
忍耐して、粘り強く、勉強するのが大事。
世界について調べ、何が起こっているのかを理解したら、お金を稼ぐことができる
経営学より、歴史や哲学の方が人生に役立つ
もちろん哲学を勉強するだけでは充分ではない。あなたは人生において、自分自身や世界について、考え続けなければならない。そのようにして行形を考える上で、哲学は便利な学問だ。
世界経済の重心は東へと動いていくだろう。私は中国とロシアに注目している。驚異的な埋蔵量の天然資源を持っているからだ。人口も多く、群を抜く規模の軍事力も保有している。
海外に対して門戸を閉ざす国の末路は悲惨だ。
日本はどうなるのか。子供たちの幸せを考えれば、私は日本に住んでいる人は海外への移住を考えるべきだと思う。自重すべき先は米国ではない。外国人を受け入れなくなった国が衰退する。
問題解決方法は2つある。膨れ上がる一方の借金に歯止めをかけて減らす。そしてより多くの移民を受け入れることだ。
イノベーション=技術革新は多様性から生まれる。
強くて偉大な国は移民に支えられて反映してきた。ローマ帝国が良い例だ。
ローマの強さは多様性にあった
衰退する国は、たいてい同じような道筋をたどる。国民が怠け者になり、身の丈に合わない額のお金を借り、働きたがらないようになる。
今はブロックチェーンが、世界を最も興奮させている技術の1つだろう。ブロックチェーンとは、全員がすべての取引履歴を共有し、改ざんができないようにする分散型の取引台帳技術だ。
オリンピックで大きな経済的成果を上げた国はない
ノーベル経済学賞の受賞者を何人も出している英国が衰退し、シンガポールの価値が急騰した
だからノーベル経済学賞の価値を私は信じない
競争がある事は、どんな世界にとっても良いことだ
ベーシックインカムは、人間の本性を変えようとするようなアイディアであり、馬鹿げている。
新型コロナウィルスの感染拡大に限らず、世界を驚かせるような機器は突然起きるものだ。そしてグローバルな社会や経済を見させる。歴史を振り返ると、10から15年ごとに、大きな変化が常に起きている。
危機はチャンスでもある

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