書評

夜と霧

1.今日の一言と本のサマリー

以前、アーサーホーランド牧師をお呼びしての講演会をしました。約150名の参加。読書サロンのメンバーの方もご参加くださりありがとうございました。

とても印象深い話をたくさんいただきましたが、終了後の懇親会でアーサー先生が繰り返し読まれる本が…という会話の中で出てきたのが『夜と霧』。

今日はこの本をご紹介していきましょう。

2.岡崎の考察

これは事実の報告ではない。体験記だ。壮絶な強制収容所での体験。死んでいく感情。脱走し生き延びた奇跡。いずれも衝撃的で、生き方について考えさせられる1冊です。

ここで語られているのは有名な大規強制収容所、アウシュビッツではありません。しかし、小規模の強制収容所こそがいわゆる絶滅収容所だったことが今では知られています。おびただしい大衆の小さな犠牲や小さな姿。知られざる収容者の受難。日々のパンのための、あるいはただ単に生き延びるための戦いは熾烈を極めた。自分自身の為であれ、あるいは友情で結ばれた小さな集団の為であれ、とにかく我が身可愛さから、人は容赦なく戦った。

例えば一定数の日収容者が別の収容所にうつされるらしいと聞いたとする。するとそれはまやかしだと考える。なぜなら、その移送とは、ガス室送りだと、考えるから。いかにして自分がその中に選ばれないか…選ばれるのは衰弱した人々…

ガス室と火葬場を備えた中央の小さな収容所で抹殺されるために移送される…途端に、すべての人が敵に見え、グループ同士の抗争が始まる。一人一人が、自分と自分の親しい者たちが移送されないように、移送リストから外してくれるよう懇願する。ギリギリの土壇場まで死に物狂いになる…誰かが抹殺を免れれば、誰かが身代わりになることは明白。

駅の看板がある!アウシュヴィッツだ!この瞬間、誰も彼も、心臓が止まりそうになる。ある晩、友人の予定がわからなくなった…

「彼はどこに行ったんですか?」
「だったらほら、あそこだ。」

あそこってどこだ?手が伸びて、数百メートル離れた煙突を指差した煙突からは数メートルの高さに不気味な炎が吹き出して、ポーランドの暗い空を舐め、真っ黒な煙となって消えていく。

あそこがどうしたって?「あそこからお友達が、登っているところだ。」

ギリギリの環境にあって人間は一体どうあるのか。生きるとはどういうことか。人生観問われる永遠の名作。ぜひ読んでみてください。

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