1.今日の一言と本のサマリー
7割を超える企業が人手不足を感じている…
独立行政法人中小企業基盤整備機構が中小企業に対して行ったアンケートの結果、業界を問わず7割を超える企業が、人手不足を感じていると答えています。そして多くの経営者は、採用できない、育たない、すぐ辞めるという、まさに人材三重苦に落ちているのです。
こういった状況にあって、優秀な人材がほしいと望んでばかりいるのは間違いです。その優秀な人材は、外からリクルートされてしまう可能性があり、どちらにせよ定着しない可能性が高いからです。むしろ、一刻も早く、すでにいる人材の活用に着手すべきでしょう。
ビジネスの現場における従業員の能力開発。指示待ち人間から、自分で動くことができる社員を育てる。『短期間で社員が育つ「行動の教科書」』をご紹介していきましょう!
2.ポイント3点
仕事のやり方がわからないのは教えてもらっていないから
人ができない理由は2つだけ
①結果を出すためのやり方がわからない
②やり方がわかっていても結果が出るまで続けることができない
下位8割の底上げこそが人材不足を解決する
3.岡崎の考察
パレートの法則をご存知でしょうか?全てのものごとは、2:6:2に分かれるという法則です。これは組織においても、仕事ができる2割、普通の6割、全く働かない2割にわかれます。そして仮に全員がスーパーマンのように仕事ができる人を集めても、この割合に分かれていくというから面白いものです。
だから大事な事は、上位2割をなんとかするのではなく、下位8割全体の底上げをしていくこと。上位2割を伸ばす事は難しいもの。中間層の6割、もしくは下位2割のできない人の伸びしろを伸ばした方がずっと効果的です。
そのために何ができるのか?ポイント3点、紹介したいと思います。
①就活生の意外な質問。
人材育成のスタートは、採用からあります。特に最近では、大学新卒者の採用にあたり次のような質問を頻繁にされるといいます。
・残業はどのぐらいありますか?
・ちゃんと仕事を教えてもらえますか?
・社内の雰囲気はどんな感じでしょうか?
つまり今の学生たちは、残業が少なく、ちゃんと仕事を教えてもらえる、雰囲気の良い職場で働きたいと願っているわけです。逆に言えばこれらのポイントをクリアすれば、人材の流出も抑えられるということになります。
そしてこの中で最も重要な要素が、ちゃんと仕事を教えるという要素です。なぜなら、残業が増えてしまうのも、人間関係がギスギスするのも、仕事がうまく回っていないから。新人がちゃんと教えてもらえて仕事がうまく周り、良い業績を残せたら全て解決します。勘や経験に頼るのではなく、ちゃんと教えることを意識しましょう。
②やってはいけない悪い行動も具体的に示す
すべての良い結果は、良い行動の積み重ねによって生まれます。どんなに大きな建物も当然ですが、いきなりできたわけではありません。作業員一人一人が、とるべき行動を地道に繰り返し、積み重ねてきたからこそ完成しているのです。
例えば建物を建てるとき、建物を建てるために必要なことだけを指し示せば良いのでしょうか?沖縄の首里城が燃えてしまった事は皆さんご存知だと思いますが、原因は火の不始末だったと聞いています。
やってはいけないこと、例えば、タバコを建築中の建物の横で吸ってはいけないなどと決めておけば、本来は起きなかったわけです。つまり、やってはならない悪い事を具体的に示し、それが消去されていくようにすることも重要なのです。
③できる人の思考プロセス
成功するかしないかは考え方の癖で決まるという言葉があります。言い方を変えると、成功する、物事をうまく進めている人たちは、うまくいくための決まった思考プロセスがあり、うまくいかない人たちは、うまくいかない決まった思考プロセスがあるということです。そこで成功する人たちの思考プロセスを他の人たちに伝達していくために、次の5つのフレームワークで紐解くとよいでしょう。
1.最終ゴールとそこに至る複数のゴールを確認
2.小さなゴールに至る日々の行動を聞き取る
3.行動の意図を読み解く
4.意図実現するために無意識に行っている事と考えていることを想定
5.再現性の検証
プロセスを明確にすることで、再現性が生まれ、組織全体の能力アップすることができます。
組織の生産性を上げるために行動科学マネジメントは非常に効果的でしょう。実践的な内容でお勧めできる1冊でした。
4.気になるワード
①結果を出すためのやり方がわからない
②やり方がわかっていても結果が出るまで続けることができない